目次
心の緊張は、身体で発散
【簡単な3つのワークで安心できる】
『不安遺伝子を抑えて心がす~っとラクになる本』
日本には、森田療法(強迫性不安を自己受容する)や
内観療法(両親との人間関係を深く振り返ることで
うつや不安を整理していく)
という、独自の国産心理療法がありますが、
どちらももう数十年以上前に創設されたものです。
現在でも有効性はもちろんあるのですが、
・社会環境の激変
(狭くて深い共同体中心から、広くて浅い組織体中心へ)
・万事、スピード感が加速
・インターネットやスマホによるデジタル化、
グローバル化&24時間活動化
があまりにも主流になっている現代、
これらの手法を取り入れるカウンセラーは
ほとんどいなくなっています。
心理療法では、アメリカのカール・ロジャーズによる
「来談者中心療法」が(これも日本に輸入されて
既に数十年経っていますが)、まだ現在でも
最も中心的に取り入れられています。
この流派では
・クライアントの話をよく「傾聴」し「共感」する
・支持的に関わる
・セラピスト側からはあまり積極的に
「助言」や「指示」はしない
と、一般的には(カウンセラーでさえも)
思っている人が多いようです。
このため、クライアントがカウンセリングに
通い続けて、既に数ヶ月以上になるのに
「いつまで経っても、うんうんと聴くばかりで
一向にアドバイスをくれない。
自分の治療が進んでいるかもわからないので
カウンセリングに通うのを止めた」
という話を、患者さん/クライアントさんから
これまで何度となく聞かされたことがあります。
(実際にはロジャーズは、クライアントの状態や
タイミング、性格をみながら、時には
挑戦的な話の持っていき方をしたりして
クライアントの感情を突き動かすような
こともしたのですが。)
しかし1980年代に筑波大名誉教授の
宗像恒次博士により開発されたSAT療法
(構造化連想法)は久々の日本オリジナル心理療法です。
このカウンセリング法が画期的なのは
改善したいターゲットがメンタルでありながら、
従来のカウンセリングのように
ストレスを解明しようとしてストレートに
精神の深み(特に過去の嫌な記憶)
に入り込もうとするのではなく、
「身体感覚」と、精神への橋渡しとして「イメージ力」
を使って、精神に段階的にアプローチしていく、
という点です。
これにより、無理に考えを変えようとして
奮闘する必要もないし、
性格を変えようとがんばる必要もなありません。
ただ自分にとって快適な「イメージ」世界に
浸りながら、ゆったりと
「安心感」「リラックス感」
を体験することで、それに影響されて
自動的に気分も落ち着き、不安や緊張が減り、
その結果としてニュートラルで合理的な
判断力が回復したり、その判断に基づいて
行動できるようになってくるのです。
今回の記事では、一般向けにSATを
入門的に紹介した本から、2つほどご紹介しましょう。
身体から心を開放するワーク
共通の準備段階:リラックス状態に入りやすくする
以下のワーク1)2)の両者のいずれを体験するためにも
まずはあなたが全般的に緊張を解き、
リラックスしてイメージの世界に
集中しやすくする必要があります。
そのために
・数分~数十分間、一人になれる場所を確保する。
・スマホの着信をはじめ、気を散らす音や振動や光の
刺激が入ってこないようにする。
具体的にはスマホの電源を切るか、
サイレントモードなどにしておく。
・必要に応じて部屋の証明をやや暗くすると
集中しやすくなるでしょう。
・3回深呼吸後、普通の呼吸をゆっくり繰り返し、
その呼吸の感覚に集中することで
できるだけ頭の中で余計なことを考えないようにする。
考え始めてしまったら、気づいた段階で
何度でも呼吸の感覚に意識を戻す。
ではこの準備状態の上で、
以下のワークに進んでいきましょう。
ワーク1)理想的な表情を特定し、思い浮かべる
・あなたが最も安心し快適に感じる環境をイメージします。
それは自然の中ですか、街中ですか、あるいは家庭でしょうか?
その環境の具体的な設定(年代、季節、場所、e.t.c. )
を決めます。
しばらくそのくつろぐ環境でゆったりしましょう。
・ここで、ある人物が登場します。
あなたが最も会いたいと思い、会うと安心できる、
そして楽しいと感じる相手です。
そしてその人が自分に向けて浮かべている表情で、
最もあなたが見たい、体験したいと思う表情を
思い浮かべましょう。
笑顔だとすると、穏やかな微笑でしょうか、
それとも大笑い?
驚きとともに喜んでいる?
いろいろ試して、あなたが最も心地よいと
感じる表情を特定しましょう。
その表情を浮かべている相手と、
楽しくやりとりしている様子をイメージします。
その様子を心の目に焼き付けましょう。
そしてそれをできるだけ覚えておきます。
今後ストレスを感じたとき、不安や悲しみなどの
ネガティブ感情を感じたときに、
すかさずこの理想の笑顔を思い浮かべるようにします。
忘れずにこれを繰り返すことで、
ストレスを受けた時にもそこから脱出できやすくなります。
ワーク2)理想的なスキンシップをイメージで体験する
このワークは1)に引き続いて行なっても良いですし、
単独で行なってもOKです。
・あなたが最も安心し快適に感じる環境をイメージします。
それは自然の中ですか、街中ですか、あるいは家庭でしょうか?
その環境の具体的な設定(年代、季節、場所、e.t.c. )
を決めます。
しばらくそのくつろぐ環境でゆったりしましょう。
・ここで、ある人物が登場します。
あなたが最も会いたいと思い、会うと安心できる、
そして楽しいと感じる相手です。
・その人から、理想的なスキンシップを
受けている様子をイメージします。
それは現在のあなたですか、それとも
幼少時など、過去のあなたのイメージでしょうか?
相手は、何歳くらい?
相手は、あなたのどこに触れ、
どのようなスキンシップを行なってくれてますか?
(例 肩を抱く、背中をさする、頭をなでる、
手をにぎる、足をマッサージするe.t.c. )
その感触のやさしさ、暖かさ、気持ちよさに
意識を集中してみてください。
その感覚をできるだけありありと感じ、
覚えておくようにします。
今後ストレスを感じたとき、不安や悲しみなどの
ネガティブ感情を感じたときに、
すかさずこの理想の笑顔を思い浮かべるようにします。
忘れずにこれを繰り返すことで、
ストレスを受けた時にもそこから脱出できやすくなります。
ワーク3)感覚入力で「脳を忙しく」して、
ネガティブ思考を追い出す
こちらはイメージさえする必要がないので、
例えば通勤途中やオフィスの中、
買い物等の列に並んだり、何かを待っているとき
のような、スキマ時間にもできるワークです。
「フォアヘッド・タッピング」
という名称ですが、要するに
片手の5本指で額を数分間、
軽くトントン叩くという簡単なものです。
簡単ながら、ちゃんと脳機能の特性を
上手く活用した、ストレス低減法となっています。
↓↓↓
脳のワーキングメモリは容量が限られており、
新たに入ってきて、かつ
持続する刺激を優先する性質があります。
これにより、嫌なことを考え続けようとしても
その後に入ってきた入力情報に何度も刺激されることで
否が応でもそちらが優先されるようになり、
結果的に、ネガティブ思考にふけることから
脱出できるようになる、というものです。
この手法は、文末に挙げた
『超ストレス解消法』に載っているものですが、
個人的には、額に限らず
目の回りや頬骨、口の回りなども
順に両手でタッピングしていくと、
なお効果的だと感じました。
なぜなら、顔には多くのツボが集中しており、
その刺激によるリラックス効果も加わるからです。
なお、1987年に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)
の治療法として開発されたEMDR
(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:
眼球運動による脱感作と再処理法)というものがあり、
その有効性もたしかにあるものの、
結構個人差があるようです。
私が(トラウマというのではないが、実験のために)
ちょっとした嫌な記憶を使って自分で実験
してみた感触では、EMDRよりも
この「顔中気ままにタッピング」の方が
よりリラックスもでき、気持ちが良くなった、
と感じました。
あなたもさまざまな研究成果を
上手くご自分なりに組み合わせたりしながら、
最適な手法を見つけていってくださいね。
ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。
ーーーーー
※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。
コメントを残す