メンタル不調を自分で治したい、でもできるだけ薬に頼りたくない――そんな人がいつでも活用できるメソッド集(前半)

目次

初めての方へ

後半記事はこちら

このブログは、こういう人のためのものです

「落ち込みや不安でつらい」
「眠れない」
「対人関係がこわい」

こういう悩みを、あなたも抱えていますか?
ストレスなとき、自分なりのストレス解消法や気分転換法を
使っていると思いますが、
それで成功できていますか?

ストレスがあってもそれをうまく解消できるスキルがあれば、
何が起きてもさほど動揺せず、一時的なこととして
やり過ごしていけます。

でも大半の人が、1度なにかストレスを経験すると
いつまでもそれを引きずってしまい、その結果
さまざまなメンタル不調になり、進行すると休職や育児不能など、
社会生活や家庭生活に重大な支障をきたすほどになってしまいます。

しかし、ストレスを受けてもそれを上手に受け流し、解消し、
さらにはストレスを逆に「てこ」のように上手く利用して
さらに強い自分、いつも安定している自分になれたらどうでしょう?

そんな人はメンタルのみならず体調もいつも良いでしょうし、
こころが落ち着いているので対人関係も上手くいくし、
仕事や勉強なども生産性が上がるでしょう。

「そんなうまい具合にできるスキルがあったら、苦労しないよ」
と思いますか?
それが、あるのです。
そして私自身も、その有効性の証人です。

私は現在は精神科医として、こころの悩みを持つ多くの方の相談に
乗っていますが、医学生時代には重度のうつ病になり、
1年間休学せざるを得なくなりました。

詳しくはプロフィール記事 で述べていますが、
何度も死を考えるほど絶望し、恐怖のなかにいた私が、薬に頼らず
試行錯誤の末にメンタルを改善し安定化した手法の集大成が、
このブログです。

・通常の精神科、心療内科では薬物療法のみ
・その一方で「精神疾患などは存在しない、精神科薬は全て不要な毒であり
 のむべきでない」という過激な意見を発信する人(医師を含む)

という両極端な現実がありますが、このブログでは
どちらにも偏らず、(必要な人は一時的に薬のサポートも受けながら)
自分で自分を癒やし、元気づけ、改善していける
さまざまな方法をお伝えしています。

あなたが興味を引かれたもの、現在の気力・体力でも
取り入れられそうなものからでOK なので、
少しずつでも実行していってみてください。

継続すれば、「そういえば最近、楽になってきているなあ」
と感じるようになっていることでしょう。

メンタルが強い人の「理由」

現代の都市生活をしていると、毎日のストレスに翻弄され、
その結果大なり小なり、メンタル不調を自覚することも多いでしょう。

そんな中、一部の人は、相当なストレスに見舞われているはずなのに
さほど動揺せずうまく切り抜けています。
はたから見ても不思議なほどケロッとしていて、
仕事も私生活も安定して続けられているのです。

そんな人を見ると

「あの人はすごい、メンタルが強いんだなあ」
「もしかして『鈍感力』の強い、天然系の人?」

などと見られ、

「自分とは違う、特殊な人なんだろう」

と自分を納得させて終わってしまいます。

確かに人の気質の半分は遺伝子で決まるとされているので、
ストレス耐性の強弱はあるでしょう。

しかし現在強いメンタルをもって生きているように見える人でも、
そのほとんどの場合は過去に深刻に思い悩み、さまざまな試行錯誤の末に
「ストレスに動揺しない自分」をつかみ取ったのです。

ただ、それはごくプライベートな経験の積み重ねの結果
いつのまにか身についたので、
当人とよほど親しい間柄でないかぎり、
そのノウハウを知る機会はありません。

そういう人が著書を出版することもあるので、
読者はそこからある程度のメンタル改善法を学べます。

しかし多くの場合、それは著者が経験から手に入れたスキルの
一部を取り上げて書籍化したものなので、
それだけでは、読者はなかなか著者ほどには
メンタル改善を自覚できないことも多いでしょう。

なぜなら個人によって気質や体質が違うので、
特定のメンタル改善法が合う人と合わない人がいるからです。

あなたはどうですか?
そうした心理学系の読み物や自己啓発本、
さらにはスピリチュアル本も何冊も読んで、
どのくらい自分のメンタルを安定させ、強くできたでしょうか?

また、本を読んだ直後に実践したら効果があったが、
きちんと自分の習慣にする前に
そのスキルから離れたので忘れてしまい、
気づくとまた以前と同じ症状、同じ悩みに戻っている・・・。
その結果、数カ月後にはまた次の自己啓発本に手をのばす、
ということになってはいませんか?

筋トレやダイエットと同様、メンタル改善も一種のスキルなので、
習得してその効果を得るためには、数週間ないし数ヶ月以上、
毎日実践・練習し続ける必要があります。

1回とか数回試したくらいでは、なかなか変わらないのが普通なのです。
なのでこのブログの目次をざっと見て、
いま最も取り入れやすそうなところからで良いので、
今日から始めてくださいね。
少しずつでOK なので。

もしも三日坊主になっても大丈夫。
思い出した時点で再開すれば良いですし、
最初とは別の手法を開始しても良いでしょう。


あなたが得られるメリット

このブログを読み、実践することで、あなたは
以下のようなメリットを手に入れることができます。

――――――――――

(1)できるだけ医療に頼らず、または並行して、自力でメンタルを改善する方法がわかる。

(2)心は身体からコントロールでき、身体は心からコントロールできる。
  そのための具体的手法が使えるようになる。

(3) (2)で少しエネルギーが回復したら(あるいは平行して)、
   精神医学・心理学の最新知見・メソッドを活用する。

(4)筆記開示(書き出しワーク)

(5)不眠の行動療法

(6)自分の体質・気質の特性を知って受け入れ、
  長所は伸ばし、短所は上手にコントロールする。

(7)仲間づくりをする必要性と、その方法を提案

――――――――――

以下、ひとつずつ概略を説明します。
各項目で、気になる、すぐ詳細を読んでみたいと言う方は
各項目詳細へのリンクも貼っておきますので、
先に読んでいただいても結構です。


(1)できるだけ医療に頼らず、または並行して
   自力でメンタルを改善する方法がわかる。

「ここ最近、心身の不調が続いていて、なかなか改善できない。
でも病院には行きたくない。薬ものみたくないし」

「既にメンタルクリニック受診して薬ものんでいるが
 効果を感じない。薬物療法だけでなく、自分でも
 できる対策はしたい」

というあなたに、自助努力で心身が楽になっていく方法が
見つかります。

(2)心は身体からコントロールでき、身体は心からコントロールできる。
そのための具体的手法が使えるようになる。

従来の精神医学、心理学では、心の改善をしようと思ったら
(薬物療法以外では)カウンセリングを受けるとか
 自分で考え方を変える、上手に気分転換するしかない、
 身体と心は別物だ、と考えられてきました。

しかしその後の研究で
「心は身体に症状を出し、身体は心に症状を出す」
という「心身医学」の視点がめばえました。

当初はストレスによる身体疾患は胃潰瘍、気管支喘息、心筋梗塞くらいしか
認識されていなかったのですが、その後
高血圧、糖尿病、アトピー性皮膚炎、めまいや吐き気、頭痛など
多彩な病気が精神的ストレスの影響を受けることがわかってきました。

逆に身体の状態が悪いと精神状態も悪くなります。
わかりやすいところでは、睡眠不足では集中力や判断力はもちろん、
気分面でも不安やイライラ、落ち込みを感じやすくなりますし、
極端な空腹や高熱時も、頭は回らなくなります。

もっと微妙でわかりにくいものの、最近明らかになってきた影響では
以下のものが代表的です。

・食後低血糖による不安、イライラ、落ち込み
・長時間座っていることによる意欲低下、集中力低下、認知機能低下
・夜ふかし朝寝坊によるうつ状態、不安状態

これらは以下のような手段で改善・治療が可能です。
  ・栄養療法
・朝散歩
・運動
・呼吸法
・マインドフルネス
・水シャワー、サウナ
など

(3)(2)で少しエネルギーが回復したら(あるいは平行して)、精神医学・心理学の最新知見・メソッドを活用する。

例えば認知行動療法(CBT)、弁証法的行動療法(DBT)、アクセプタンス・アンド・コミットメントセラピー(ACT)です。

※くわしくはこちらの記事をお読みください。
最新の認知行動療法を使って、自分でメンタル不調を治す方法


※こちらの記事でも簡単にまとめています。

ネガティブ感情は避けず、紛らわさないほうが早く脱出できる理由【ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)のまとめ】

「決めつけ(価値判断)」はあなたも他人も苦しめる


(4)筆記開示(書き出しワーク)

その日に感じたこと、考えたことを全て書き出していくことで
ストレスな思考の堂々巡りを防ぎ、
客観的になれて、落ち着くことができます。
詳しくは以下の記事をご参照。

筆記開示(書き出しワーク)で、心を落ち着ける【カウンセラー不要】


(5)不眠の行動療法

不眠の95%は、
①生活リズムの乱れ
②夜の時間の間違った使い方
が原因です。

したがってこれらに気づき、是正していくことで
睡眠薬を漫然と使うことなく、良質な睡眠をとれるようになります。

ただし不眠の背景にうつ病などの病気がある場合は、
病気そのものへの治療も必要となります。
なかには、一時的に抗うつ薬によるサポートが必要な人もいるでしょう。

しかしその場合も、①と②をきちんと改善することで
早く寛解(困るほどの症状がない状態)にもっていけます。
逆にいうと、①②を放置したままでは
うつ病その他の精神疾患はなかなか改善しないのです。

不眠の行動療法についての詳細はこちら。↓

不眠解消法を自分で身につける方法   
不眠を認知療法的に治すには   
夜勤する人の不眠対処用行動療法

<お勧め参考図書とその解説>
不眠が治るかどうかは、あなたの行動次第


(6)自分の体質・気質の特性を知って受け入れ、長所は伸ばし、短所は上手にコントロールする。

以下の病態は遺伝や体質の影響が強く出がちなので、
心理的対策はもちろんですが
環境を改善する、すなわち刺激が少なく
リラックスできる環境を確保することや、
そうした環境が必要だということを普段から周りの人
(家族、友人、同僚、上司e.t.c.)に伝え続ける、という努力も必要です。

それぞれの病態について、以下にご説明します。

双極性障害(躁うつ病)の場合

双極性感情障害(躁うつ病)では、シンプルなうつ病と比べて
心理的な要素よりも身体のバイオリズムの影響力が強い傾向があります。

すると、普段は上手に自己管理できていた人でも
躁状態になると怒りっぽくなったり、お金を浪費したり、
寝ない食べないで何週間も突っ走る、ということも起こりえます。

するとその後必ず反動でひどいうつ状態になってしまいます。
なので状態によっては、精神科薬の手助けも借りる必要がある
場合が多いです。

ADHDなど発達障害の場合

ADHDをはじめとする発達障害は、
各個人によって症状の内容や程度が多彩で、
それ用の薬物療法で楽になる人もいれば、全く無効な人もいます。

発達障害の人の場合は、以下の参考図書にあげたものなどを使って
社会生活になじめるような具体的な工夫をしていくことと、
自分の特性を周囲の人(上司、同僚、家族など)に説明し、
自分も周りの人も一番安心して暮らせる方法を相談し、
改善の工夫をし続けることです。

ただし、双極性感情障害でも発達障害でも
共通しているのは、やはりこのブログでお伝えしている
各種の自己改善法を併用したほうが、苦しい症状の再発や
社会適応不全の程度が減らせる、ということです。

統合失調症の場合

統合失調症の場合は、標準医学では薬物療法一択です。
もちろん、被害妄想な幻覚、興奮が著しい時期には
鎮静系の薬物療法が必須といえるでしょう。
なぜなら早急にこうした激しい症状を抑制しないと、

・幻覚妄想に突き動かされて自傷したり、他者を傷つける
・激しい興奮と病的体験で精神が消耗し、治りが悪くなる
・長期引きこもりになり、社会適応困難な一生になる

といった、大きな損失があるからです。

もちろんこれらの症状の背景にはやはり精神的ストレスもあるのですが、
それ以上に脳機能の特定のかたより
(脳の、一種の「体質」といえるもの)があり、
そちらにアプローチしないままでは、なかなか安定化しません。

しかし、ここに大きな朗報があります。
カナダの精神科医ホッファー博士が開発した「分子整合栄養療法」にて

脳の機能のかたよりを改善することで、驚くほど改善できるのです。
中には完全に薬から離脱できた人もおられます。

(標準精神医学では未だ認められていませんが)
これは立派に「治療」レベルの効果であり、
少量の薬物療法では改善がみられない、
かといって薬を強めるとただボーッとするだけだし、
いろいろな副作用でまともに暮らせない
といった人に特におすすめです。

新型うつ病、双極性障害2型について

新型うつ病」や「双極性障害Ⅱ型」といわれる人のなかには
発達障害に虐待が加わったことによるトラウマの後遺症としての
気分不安定、イライラ、自殺願望などになっている人もいます。

そのような場合には通常の薬物療法では効果がでにくく
かえって悪化する場合も。

ただ、ごく少量の薬物が入ることで楽になる人もいますので、
何が何でもゼロにしようとするのではなく、
発達障害に理解のある精神科医を探して受診することが役立つでしょう。

EMDR(身体に左右の交互の刺激をしながらトラウマを思い出すことで
次第にトラウマ記憶に巻き込まれなくなる方法)を使ってトラウマ対処をすることに慣れているセラピストを探して施術を受けるのも効果的でしょう。

セルフケアとしてはやはり

・朝散歩でバイオリズムを整える
・運動で脳神経ネットワークを強める
・分子整合栄養療法整合で気分を安定しやすくする
・筆記開示+マインドフルネスで意識のコントロール法を習得する

ことが、非常に役立つでしょう。

より詳しくは
「精神医学・心理学・脳科学を使って自己改善」
の各記事をお読みください。


(7)仲間づくりをする必要性を認識する

以前は「不登校」が問題視されていましたが、今や会社員などの
長期休職や引きこもりが増えています。

いくら体調や気分が改善しても
「他人とそれなりに交流できる」スキルと
経験がなければ、いつまでも社会復帰困難です。

こうした人々のためにデイケアや作業所、
その他の就労支援プログラムが存在します。

また、特に病気でもないし引きこもってもいないが、
心許せる他人というものがいない、というのも
長期的には問題となります。

孤独な人はそうでない人よりも何倍も心身の病気になりやすく
寿命も短いことが、近年のいくつもの研究でわかってきているからです。

しかし現代では、ネット活用を上手くすることで
孤立状態から脱出することができます。
その詳細を書いた記事がこちら。↓
ネット時代だからこそできる、人間関係構築法


もしも私が今、うつで休学している大学生なら

これまでさまざまな手法を試してきた私自身が、もしも今、当時の自分のような人にアドバイスするとしたら

以下の優先順位で行なうことを勧めるでしょう。

(1)食事の改善

分子整合栄養療法の考えにしたがった食生活を目指して
毎日食べる食品選びを意識します。

もしも身の回りのこともできないほど重症なら
本ブログ「お勧め情報源」にある「分子整合栄養療法を導入している医療機関リスト」で、最寄りのクリニックを調べます。

そして家族に車を出してもらって1回は受診し、
「治療品質」が保証されたサプリを1~3種ほど、
数か月は使ってみるでしょう。

私自身は栄養療法に出会い、ナイアシンの使用量に比例して
明らかに睡眠や不安、意欲低下が改善したのを、
今でも鮮やかに覚えています。

より詳しくは以下の記事をご覧ください。
心を栄養で実際に治せる

(2)朝散歩

朝日を浴びながら20~30分ウォーキングをすることで、不安やうつ気分を減らし、夜間睡眠の質を改善する脳内ホルモンの分泌がうながされます。
より詳しくは:朝散歩でメンタルが改善する5つの科学的理由


(3)外出、運動、筋トレで身体に刺激を与える。余力があればサウナや水シャワーで自律神経に刺激を与え活性化する。

身体を刺激することは単なる気分転換や体力づくりにとどまりません。
継続することで、脳細胞を成長させるホルモンが分泌され
脳細胞同士のネットワークも向上するので、
当然の結果として意欲・集中力・認知力が上がり、
その結果として不安が減り、落ち込みが改善することが、
2000年~2010年代に入ってからどんどん究明されてきたのです。

ただ、運動の選び方、外出の仕方にもコツがあり、
これを知らずに
「運動(外出)がメンタルに良いらしいから」
と自己流で試しても効果を感じにくいとか、
かえって疲れてしまったのでもういやだ、
となってしまう場合もあります。

なので後述の記事では、最も効果を上げやすい運動や外出のコツを
説明しています。

「運動を全くしないでいることは、
『うつになる薬』を毎日のんでいるようなものだ」
といわれるほどです。
なのであなたもぜひ、身体→心 への治療回路を太くしていきましょう。

より詳しくは↓
メンタルを良くしたければ、身体を刺激しよう

<その他の参考記事>
動かないと、心も折れる【あなたのうつ・不安は外出不足と行動不足から来ている件】
自律神経を水シャワーで正常化【30秒でOK】 

 

(4)筆記開示(書き出しワーク)

「筆記開示」とは聞き慣れない用語だと思いますが、一言でいうと、何かネガティブな思考や感情が沸き上がってきたとき、それを残さずノートなどに書きまくる方法です。

以下の記事(特に末尾「筆記開示」の部分)と、
そこに紹介されている記事をご参考に。
トラウマさえも、あなたの成長チャンスになる


(5)マインドフルネス瞑想

これについては、以下の記事に詳しく書いてあります。
お勧めの本も紹介&解説しています。

マインドフルネス瞑想を組み合わせたことで、劇的に効果を挙げた心理療法とは
マインドフルネスにお勧めの書籍一覧


(6)スピリチュアル

実用的「ツール」の1つとしてスピリチュアルを活用するメリット

スピリチュアルは、好き嫌いが分かれる分野ですね。
スピ好きからすれば、スピ的世界観・人生観を知り、
受け入れられるようになると

「なぜ生まれてきたのか」
「何のために生きているのか」
「死んだらどうなるのか」
「日々、どう生きていけば良いのか」
といった根源的な問いに答えを得られます。

このおかげで人生の目的意識や方向性が明確になり
その観点から毎日どう過ごせば良いのかもわかるので
迷いが大幅に減ります。
その結果、精神状態が非常に安定します。

死も怖くなくなります。

私自身も、もともとは論理を重んじる
いわゆる左脳型人間だったのですが、
飯田史彦著『生きがいの創造』を読んでから
人生観が激変しました。

また、通常の心理カウンセリングでは
自分という個人が、この数十年の一生をいかに充実して生きるか、
ということは助言してくれますが、

「生まれてきた意味、目的とは」
「死んだらどうなるのか」
といったことはわからないままです。

スピリチュアルに拒絶反応が起きる人には

とはいえ
「だからといって、根拠も証拠もない思想
(宗教やスピリチュアル)を信じるなんて危なっかしすぎる」
と嫌がる人も多いでしょう。

そして
「そんなことは考えても仕方ないことなのだから、
今の人生の、目の前のことを一生懸命やりましょう。
そうすればそんな漠然としたことはなんとなくやり過ごせますよ」
となるのです。

それで自分で納得感があり、日々安定感をもって過ごすことができ、
来たる死が実際に近づいてきても大丈夫そうなら、それでぜんぜんOK です。

しかし中には
「宗教やスピリチュアルには頼りたくない。
でも単に深く考えないようにして日々をやり過ごすのではなく、
自分なりの確固とした論理・根拠に基づいて、不安なく人生を送りたい。
でも、なかなか自分では思いつけない」

といった人もおられるでしょう。
そうした方々には、先達の優秀な書籍も複数出ていますので、
生きる意味・死後のことが知りたい人にお勧めの書籍
から一番気が合いそうなものを選んでみると良いでしょう。


(7)メディカルアロマセラピー

本当に「使える」アロマセラピーだけを選ぶには

一般にアロマセラピーと呼ばれるもので日本に入ってきているものは
イギリス式で、これはわずかな量の精油(エッセンシャルオイル、以下EO)
を多量の希釈オイルで薄めてマッサージする、お湯やキャンドルの熱で揮発させる、アルコールなどに混ぜてスプレーする、といった使い方です。

これでも香りを楽しんだり、集中力を上げたりの効果はあります。
しかしフランス式はもっと本格的で、
原液あるいはそれに近い濃度を直接皮膚に塗ったり、
内服したり、食事や飲み物に入れて使うことができます。

皮膚や粘膜からEO がより多く吸収されるので
炎症を抑える、かゆみや痛みをとる、殺菌するといった
作用がよりはっきりと出やすくなります。

もちろんその分、よくも悪くもEO の成分による
薬理作用が強まるので、使い方には注意が必要です。
(フランスでは資格を持つ代替療法医だけが
内服等の処方をできます)

浜野が愛用しているEO について、より詳しく知りたい方は
ブログの「お問合せ」フォームからご連絡いただければと思います。

精神医学・心理学・脳科学を使って自己改善
――ポイントは「自己コントロール」――

正しい「自己コントロール法」を学び身につければ、誰でもメンタルの達人になれる

次の章(各論)で、各疾患や病状(うつ、不安、不眠e.t.c.)についての
個別の対策についても述べますが、まずは
「どの症状、病気であっても共通して効果の高い対策、手法」
について、お伝えします。

効果が高く、すぐにも取り入れ始めていただきたいのが
・朝散歩
・運動
・栄養療法
なのですが、

「とにかく身体を動かすのがおっくうなので、イヤ」
という人のために、できるだけ負荷の少ない選択肢から
ご説明しましょう。

(1)You Tube をBGMのように聞き流す。

うつや不安になりやすい人、改善しにくい人は
とにかく起きている時間のほとんどを

「~になったらどうしよう」
「~なことになったらおしまいだ」
「あのとき、あんなことさえなければ(しなければ、いわなければ)
こんな状態にならなかったのに」
「誰々が憎い、許せない」
「自分には生きている価値がない。
なぜならあんなこともできなかったし、
こんなこともできないし、みんなに嫌われている
ダメな人間だからだ」

などと、ネガティブな思考を繰り返すことで費やし、
その結果、ますます気分が悪くなっています。

なので、ネガティブ思考する時間を
一日にわずかずつでも減らしていくことで
消耗してしまう時間を減らし、その結果
だんだんとエネルギーが回復し、楽になっていくのです。

消耗が減ってくると、そのぶんニュートラルな思考が
できやすくなり、するとますます回復しやすくなります。

このように
「ポジティブ情報にできるだけ長く触れ、インプットする」
目的で使えるのが、優良なYou Tube 動画の聞き流しなのです。

おすすめ情報源にもまとめておきますが、
精神科医の樺沢紫苑氏や新宿OP廣瀬クリニックのチャンネル
なぜメンタル不調になってしまうのか、
どう考えたり行動すれば改善できるのかについて
多数の動画がアップされています。

これらをBGMのように流しておくことで、
いつものネガティブなループ思考に、またもやハマりそうになるときに
具体的な希望を与えてくれる情報をインプットでき、
そのぶんホッとしたりリラックスできます。

(2)畏敬の念を生じさせるような写真や動画を眺める。

人間の脳の性質として
「自分よりも比較にならないほど大きなもの、
 特に自然の風景や宇宙」
を写した写真や動画を見ると、
不思議な、畏敬の念を感じます。

脳科学者が多数の論文から抽出したエッセンスをまとめた
『科学的に幸せになれる「脳磨き」』では
畏敬の念を感じさせる時間を定期的に持つことで
気分が安定し、集中力が回復する
と述べています。

その他にももちろん、自分が好きな
動物の動画でなごむ、
おかしい動画で爆笑する、
というのもそれぞれ効果が高いので
ぜひ毎日5分からでも取り入れてください。

寝る前に実践すれば、床に入ってから
あれこれ思い悩むことが減り、その結果

・睡眠の質が良くなる(寝つきがよくなり、中途覚醒が減る)
・悪夢が減る

といったことも期待できます。

どん底の状態から多少とも改善し
15~30分程度は動画の内容に集中できる、
という状態になったら、以下もお勧めです。

 

(3)ハッピーエンドの映画やドラマを見る。

人の脳には「ミラーニューロン」というものがあり、
しょっちゅう目にするものは、
 無意識のうちに自分もコピーする
という性質があります。

このため、映画などのストーリーで

「主人公が当初、辛い環境に置かれ
過酷な体験をしても、それらを乗り越え
結局は幸せになれる」

という物語をたくさん視聴することで、たとえ最初は
「フィクションはそうだろうけど、
現実はなかなかそううまくはいかないよ」
という、悲観的・批判的な人でも、

わずかずつでも
「それでも最後はきっと、なんとかなるだろう」
という、楽観主義に少しずつ上書きされていきます。

この楽観主義はある種の「感覚」的なものなので、
理詰めで納得しようとしても違和感を感じがち。

しかしだからこそ「数で勝負」で、
毎日のネガティブ思考以上にしょっちゅう
触れることで、やがて楽観的な思考と感じ方が
「第2の天性」になっていくのです。

そしてこの楽観主義のほうが、
本人の才能や体力、頭の良さといった客観的要素よりも
最終的には実際の成果に結びつく、
ということが、研究でわかっています。

なの実用的な生産性を上げるためにも
主観的な感情状態をよくする、特に楽観的になる
ことを意識しましょう。

なお、残酷シーンや暴力シーン、グロテスクな内容が続くもの、
理不尽な境遇や扱いを受けたまま、無念に死んでいって終わる、
といったバッドエンドな物語は、極力避けましょう。
そうしたものを見ると、これもあなたの心を
ネガティブな内容に「上書き」してしまいますので。

(4)音楽を聞く。

音楽が感情に直接働きかける、ということは
あなたも経験上、感じていることでしょう。

もちろん好きな音楽を聴くのが一番ですが、
「今はつらすぎて、以前好きだった明るい曲は聴く気になれない」
といった場合もあるでしょう。

そういう場合は、まずは現在の気分に近い音楽、例えば

・失恋など喪失感を感じているときには、悲しい曲
・怒りを感じているときには、激しい曲

といったものから始めて、徐々に落ち着いた曲、
それからしみじみとした曲、希望や優しさを
思い出させてくれるような曲が良いでしょう。

ベルリン大学の研究によると、

壮大な勇壮な響きをもつ曲
(例:大河ドラマのオープニング曲やゲームのBGM、
 映画のサウンドトラックなどにあるような)
 は意欲を活性化する

悲しいが美しい曲はリラックス効果がある

とのことです。

「壮大な曲はともかく、悲しいが美しい曲って、
 どんなもの?」

という疑問に対して、

メンタリストDaiGo は、一例として
このようなものを挙げていますので、
イメージがつかみやすいかと思います。
NieR:Automata Original Soundtrack

要は、なんとなく切なくなるような曲や、
懐かしさ(ノスタルジー)を感じるような曲ですね。

もちろんこれら以外でも、あなたが好きで
なんらかの形で感情を動かされる曲も、どんどん聴いてください。

たとえば子供時代に大好きだったアニメのテーマ曲なども
無邪気で楽観的だった頃の感覚を思い出し、
気を休めてくれる一助になりやすいでしょう。

(5)精油(エッセンシャルオイル、以下EO )をかぐ

音楽や絵画と並んで、香りもまた、
左脳の思考回路をすり抜けて
心、特に感情にダイレクトにアクセスします。

鳥取大医学部教授浦上克哉氏による、
ローズマリーとレモン、ラベンダーとオレンジの組み合わせによる
記憶力の改善研究は数年前にメディアに取り上げられ
一時期有名になりました。

しかしそれ以外にも、EO の効果はたくさんあります。

詳しくは「メディカルアロマセラピー」の章
で書きます。

また個人の好み、そして同じ人でもその時の体調などにより
好むEO はどんどん変化しますが、
まずは、多くの人に好まれ、取り入れやすい香りを
ピックアップするならば

・リラックスしたいなら
→柑橘系(オレンジ、グレープフルーツなど)、
 ローズ、イランイラン、ゼラニウム、ジャスミンといった甘い花の香り、
 ラベンダーなど

・気分や集中力を上げたいなら
→ペパーミント、ローズマリー、ユーカリ系、レモンなど

がおすすめです。

さて、少しでも動けるようになったら、
ぜひ外出や運動を取り入れていきましょう。

(6)朝散歩

朝散歩は、単なる気分転換や体力づくりのためではありません。
それ以上に大きな、そしてメンタル不調から回復するためには
必須な、2つの大きな効果があります。

まず、朝日を浴びると脳が「新しい一日が始まった」と
体内時計がリセットされます。

そして日中必要な活動ができるよう、意欲を増し、
思考力・判断力を活性化し、
一方で不安を減らす脳内ホルモン
セロトニン」が分泌されます。

このおかげで日中、テキパキと物事を認知し、
不安が減るおかげで集中力も増し、おかげで
必要なことを実行できるようになります。

ちなみにこのセロトニンは、「SSRI」と呼ばれ
現在主として使われている抗うつ薬が
脳内に働きかけて活性化しようとしている
ホルモンです。

つまり日光に当たることで、自前の
いわば「抗うつホルモン」をたくさん分泌できるようになり
その結果、うつや不安から回復しやすくなるのです。

そして日光を浴びてから15~16時間後には
今度は「メラトニン」という、天然の睡眠薬のような
ホルモンが盛んに分泌されるようになります。

このように朝散歩には、気分を高め、意欲を上げ、
不安を減らし、睡眠を改善するという、
誰もが欲しがり、そして必須の効能があるのです。


ここまで読んで
「え、じゃあ日光浴だけでも良いのでは?」
と思う人もいるかもしれません。

確かに、一日中カーテンも開けないとか、
何週間も一歩も外に出ない、といった
極端に不自然な生活をしている人よりも
朝の日光浴を窓越しにしているだけでも
はるかにバイオリズムは整いやすくなります。

私が診療場面で助言する患者さんたちにも、
うつが重症すぎてトイレに立つのも大変、
といった時期には、次善の策として
最初はベランダに出るだけとか、それも困難な場合には
自宅の朝日が入る部屋の窓辺で20~30分間
過ごしましょう、とお伝えすることもあります。

しかし短時間でも毎日外に出る習慣をつけることは
とても大事なのです。
理由は以下のとおりです。

①外出するために身支度すること自体が、脳への刺激になる。

パジャマややスウェット上下のまま、
髪もボサボサ・・・ではさすがに
外を行きかう人々のなかで違和感があるでしょうから、
それなりの身づくろいをしようと思うでしょう。

そうしたわずかな緊張感、自分を客観的に
見る意識が、脳への適度な刺激になり、
ストレス耐性をアップさせてくれるのです。

もちろん、別にスーツを来たりバッチリお化粧するとかの必要はなく、
ラフなジーンズ姿などで十分です。

②外に出れば、人や車にぶつからないように、それなりに気を張る必要がある。

このため、繰り返しネガティブなことを考える
 時間の長さや頻度が多少とも減り、
 そのおかげでストレス度が軽減されます。

③軽い歩行程度でも、屋内でゴロゴロしているよりは身体を使うので体力維持に役立ち、自信につながる。

普段はあまり意識していないでしょうが、
体力がある、スムーズに動けるというのは
人間の基本的な自信になっています。

あまりにも長く引きこもっていて
たまにちょっと歩いたり階段を昇ったりした際に
すぐへこたれると

「ああ、自分は体力が落ちた・・・気力もわかない・・・
きっと今後も良いことなんてない・・・」
などと、悲観的思考の入り口になりやすいのです。

逆に、軽い運動習慣を継続することで
体力や心肺能力がアップしたと自覚できると、
それが全般的に自信につながりやすくなります。

④外に出て身体を動かす、外の空気を吸うといった刺激で食欲が出やすくなり、朝食も美味しく食べられるようになる。

うつや不安状態にある人は
食欲が減って食事を抜きがちになったり
逆にストレス食いで糖質中心の食生活となり
うつや不安から回復しにくい体調になってしまいがちです。

朝のうちの適度な刺激は
適切な食欲を引き出し、
身体が健康になるのを助けてくれます。

さらに朝食を摂ると、
(日光による脳の目覚めだけでなく)胃腸レベルでも
「お、今新しい一日が始まったのだな」
と認識されるので
ますますバイオリズムがととのい、

「日中の程度な緊張と活動性」
「夜間のしかるべきリラックスと睡眠」
の両方のバランスがとれた状態になります。

⑤免疫力が上がり、感染症にもかかりにくくなる。

新型コロナウイルスを予防するために
2020年から外出規制が強められていますが、
あまりにも外出しないことは、かえって
免疫力を低下させてしまいます。

理由は以下の2つです。

i) 外出不足で免疫力低下の理由その1:ビタミンDを作れなくなる。

人は日光に当たることによりビタミンDを体内で合成します。
食物でも一部は摂れますが、
必要量の大半は日光浴することで得られるのです。

ビタミンDには多彩で重要な働きがありますが、
その1つが、免疫力を高める(調整する)こと。

このため各種感染症にかかりにくくするだけでなく
花粉症をはじめとするアレルギー性疾患、
各種自己免疫性疾患の予防や改善にも有効です。

ii) 外出不足で免疫力低下の理由その2:ストレスホルモンを増やし、それによる副作用をきたす。

人はストレスを感じたときに「コルチゾール」という
ホルモンの分泌量が増えます。

コルチゾールはもともとは緊急時に
対処し生き延びるために必須のホルモンでした。
例えばその昔、人が大自然の中で狩猟採集生活を
していたときには、肉食動物と遭遇したら
「戦うか、逃げるか」の2択しかありません。

このときに、かなりの怪我を負っても
無我夢中で行動できるよう、
いわば「火事場の馬鹿力」を
与えてくれていたのが、コルチゾールです。

命がけで大変な時代でしたが、1回あたりの
ストレス継続時間は短く、いったん逃げおおせたら
もう思い悩む必要はないので
「緊急警報」は止まり、リラックスできたのです。

しかし現代はどうでしょう。
直ちに命にかかわるようなストレスは減った一方、
人間関係や経済的悩みなどで
何ヶ月も何年も「思い悩みストレス」
にさらされ続ける人が、大半ではないでしょうか。

そうなると、コルチゾールが常に多量に
血中を流れ続けることになります。

コルチゾールはステロイドホルモンなので、
アトピーやリウマチなどでステロイド剤を
多量かつ長年にわたってのみ続けた場合と
同じ副作用を出します。

例えば、以下のものです。
・肥満
・免疫力低下
・うつ状態

なので、ストレスを貯めず適度に発散するためにも
外出は必要なのです。

コロナが怖い、「3密」を避けねばと思っても
単独で、屋外で散歩、早足歩きやジョギング、
ストレッチをしたからといって
何が問題でしょうか。

むしろ前述のようにメリットばかりなので、
ぜひ生活に取り入れてください。

朝散歩がどうしてもできない場合の次善プラン

ここまでご説明しても
「でも~、おっくうで動けないんです~」
と、なかなか朝散歩してくれない人も多いです。

その場合も、ゼロよりはどんなにわずかでも
前進していることが大事なので、
以下の段階を追って実践していくことをおすすめします。

室内で、朝日の入る部屋の窓際で座るか横たわり、
20~30分日光浴する。

ベランダで朝日が入るならベランダに出て
日光浴や深呼吸、ストレッチなどをする。

3分で自宅の周りを一周するだけでも良いから、
とにかく外に出てみる。
(それさえ難しければ、玄関から1分間歩けるところまで
行き、すぐに引き返す、というレベルから始めても可。)

次第に時間を伸ばす。
とはいえ朝散歩は20~30分でOK 。

※これ以上長く出ていても、日光浴の効果は頭打ちで、
むしろ疲れる確率が上がるからです。
社会復帰のために更に体力・気力を上げるための外出は
別途行なっていきます。


なお、朝散歩が必須とわかってはいても、
現在起床時間が遅い人が一挙に早朝に起きようと
思っても無理があるし、ポイントはそこではあありません。

まずは現在の起床時間で
起きたら30分~1時間以内に玄関を出ることが最重要。

それが実行しやすいように
ジャージなどのスポーツウエアで就寝するのも一案です。

ジーンズがはきたいが、それでは眠りにくい、という人は
前夜のうちにジーンズを出して用意しておく、
(季節によっては、さらに)タオル、帽子、PET飲料などを
予め玄関にひとまとめにしておく、靴も選んでおく、
といった準備をしてから寝ると、
翌朝の面倒くささが減り、実行しやすくなるでしょう。

なお、どうしても外に出られない、
我が家は朝日が全く入らない、という人には
人工灯で太陽光の代わりをさせる、という手段もあります。

これは「高照度光療法」といって
何十年も前から存在する、うつ(特に季節性うつ病)
への治療法の1つです。

で、昔は研究用の、大きくて高い装置しかありませんでしたが
最近は個人向けのお手頃値段(数千円程度から)ながら
効果の期待できる装置も、通販で入手できるようになりました。

そのことについて詳しく書いた記事が
季節性うつ病に効く「高照度光療法」
です。

(7)運動療法

①まずは日常生活での運動量を上げる、と意識しよう

運動療法といっても、何も特定のスポーツをしたり
ランニングをしなければならない、ということではありません。

あとで詳しく述べますが、

・日常生活での活動量を増やす
・速歩きから始め、少しずつジョギングをはさむ形で
 インターバル的にちょっと強い負荷を上乗せする
・簡単で小さな負荷からの筋トレ

この程度からでも、十分効果があります。

なぜ運動がメンタル改善に有効かというと、
以下の理由があります。

・たとえ短時間でも、息がはずむ、汗ばむレベルの運動をすることで
 全身の血流が増えて、脳を含めた体内の血のめぐりが良くなるので
 身体が暖まると同時に、自律神経がリラックスモードに
 入りやすくなり、その結果、過度な慢性緊張が減る。

・運動を継続していくうちに、脳神経を活性化させる
 BDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、
 脳神経が活性化される。
 この結果、思考力や判断力が改善し、過剰な不安や
 落ち込みに悩みにくくなる。

・息がはずむくらいの運動や、自分の姿勢に注意する
 必要のある筋トレをしている間は
 習慣化してしまったネガティブ思考から離れていられる。
 その結果、不安や落ち込みにハマりにくくなる。

どんな運動をすれば良いのか?

では、具体的にはどんな運動をすれば良いのでしょうか?

まずは、日常生活の中で行う動作を、極力運動量を増やすように
意識し工夫しましょう。
たとえば

・駅やビル内の移動ではエスカレーターやエレベーターを
 使わず、階段を使う。

・自宅や会社の最寄り駅往復を、速歩きする。

・最寄り駅往復時や買い物(食材や日用品の買い出し等)の際に
 「インターバルジョギング」をする。

これは、基本的に早足歩きで移動しつつ、合間に30秒~3分間、
ジョギングをはさむことです。
息が続かなくなったら早足歩きに戻して呼吸が整うのを待ち、
整ったらまた30秒以上を目指してジョギングします。

ふだん運動してこなかった人は30秒間のジョギングもきついと感じるでしょうが、それだけ「なまって」いたと自覚し、少しずつジョギング時間を延ばす意識で継続しましょう。

・いつもより一駅手前で電車を降りて、目的地まで歩く

・車や自転車で移動していた所を、可能な範囲では歩く。

・日に数回、10回ずつでもスクワットする。

 例えばデスクワークを1時間やった後、
 歯磨きの前、トイレ後、入浴前、お茶を入れる前・・・
 といったタイミングを決めておき、
 1日合計数十回のスクワットを目指すのも一法です。

・立ってできることは立ってやる。

 例えばテレビを見る、ヘアドライヤーをかけるのを
 座ってやっていたなら立ってやる。
 特にテレビやネット動画視聴時間は筋トレの時間と決めて
 筋トレやストレッチをやりながら見るのはおすすめです。


デスクワークも立ってしよう

ある程度気力・体力が回復し、社会復帰に向けて
さらに体力を維持して行きたい人には、
勉強する時もスタンディングデスクがおすすめ。

コロナでリモートワークをする人が増えましたが、
オフィスワーク用でない椅子で腰や背中を痛め
良い椅子に買い直した人も多いそうです。
しかし、立っていれば椅子も不要です。

「疲れるでしょ!」と思われるでしょうが、
意外と大丈夫です。

私も個人事業主として、日中何時間も
机に向かって原稿を書くなどの作業をしますが、
椅子に座っていた頃よりも腰や背中や肩が痛くならず
仕事がはかどります。

もちろん立つようになって最初のうちは
すぐ腿やふくらはぎ、腰、背中がだるくなる気がしましたが、
それも10日前後でなくなりました。

現在は、何時間も椅子に座っていなくてはならない
診療日のほうが、身体がだるくなり
疲れやすいと感じます。

それに座りっぱなしの生活は、喫煙と同等に健康を害する
ということがわかってきています。

例えば2012年にWHO(世界保健機関)は、
1日10時間以上座っている人は4時間以下の人に比べて病気になるリスクが40%も高くなると発表しています。

「だけど、いきなりスタンディングデスクに買い替える余裕はないよ!」
という人も、大丈夫。
通常の机の上に乗せて高さ調整できるタイプのものもあり、
私自身もこれを使っています。↓

②筋トレの始め方、進め方

これは各自の体力や年齢などによりますが、
まずはスクワットや全身を丁寧に回したり曲げ伸ばしをするなどの
いわゆるストレッチからで十分です。

現在はYou Tube などでいろんな人が
音楽に乗せて、楽しいストレッチや筋トレの動画を
配信していますから、自分の体力や興味に合った
ものを選び、毎日行うと良いでしょう。

その際のポイントは、表面的な動きだけで
チャッチャと真似せず、しっかりと伸ばすところは伸ばす、
曲げるときはしっかりと曲げる、
今動かしているのは身体のどこの部分なのかを
ちゃんと意識して行うことです。

そうすると身体への負荷も最大になるだけでなく、
身体に意識を集中することで
毎度のネガティブ思考から離れる時間を作ることができ、
その結果として精神状態も改善しやすくなるからです。

ラジオ体操だって、第1と第2をきちんと
意識的に行うと、結構息がはずみますよ。

もっとも、集合住宅ではなかなか思い切って
跳躍とかはしづらいですよね。

そこで、HIITの登場です。

最も効率的にメンタルも身体も強化してくれる運動、HIITとは

HIIT(高強度インターバルトレーニング)は
わずか数分間で心拍数が上がり息もはずむ
いち押しの運動法です。

これについては別記事を作りましたので、
ぜひ参照してください。↓
最も効率的にメンタルも身体も強化してくれる運動法、HIITとは

メンタル不調の症状別、具体的自己治療法

うつ状態、うつ病

ここではまず、代表的なメンタル不調である
「うつ状態、うつ病」について述べます。
ただ、あらゆるメンタル不調の
根本的な改善法は共通です。

このあと、順にお伝えしていく他の症状の改善法は、
この「うつ状態」改善法を基礎にしたうえで
それぞれの病状に特有の症状などを
さらに改善しやすくするために
つけ加えていくものに過ぎません。

なので、例えば

「自分はパニック発作を起こしぎみだが、
さほど落ち込んではいない」

と思う人でも、まずはこの共通の
改善法を学び、毎日実践していってください。

そうすれば心身の状態が整うので、
軽度の人なら、パニック障害用の文章を
読む前に、改善し始めているかもしれません。


ここでは例として
「うつ状態が悪化して勤務できなくなり、
初めて休職に入った」
というケースでご説明します。

まずは主治医を決めよう

正式に休職に入ったということは、
既にどこかの心療内科に通院をし、
休職のための診断書を書いてもらったはずです。

今後数ヶ月から数年は定期的に通院し、状態を報告し、
改善したら主治医と相談しながら
復職のタイミングと方法を決めていくわけです。

なので、距離的に通院しやすいことが大事なのと同時に
主治医を決めることも、とても重要です。

「同じクリニックに通っているのだから
どの医師でもカルテを見て判断できるだろう」
と思いがちですが、

血液検査や画像検査で明確に白黒が判定しやすい
内科や外科と違って、精神科・心療内科は
本人の態度や話しぶり、顔色といった
実際に対面で観察してないとわかりにくい情報が多くあります。

そしてそれが病状評価や
復職可能かどうかの判断に大きな影響を与えます。

この辺りのことを詳細に書いた記事が、以下です。

メンタル不調からの職場復帰のコツ――自宅でできる「リワーク(復職)・プログラム」
うつ病を自宅で治す「セルフリワーク(復職)プログラム」

うつのバリエーション(気分変調症、双極性障害)では
プラスアルファの工夫も必要

医学的には同じ「気分障害」圏だが、
「気分変調症」と「双極性障害」では
シンプルなうつ病につけ加えて
考慮すべき特性がそれぞれあります。

(1)気分変調症(気分変調性障害)

気分変調症は、普段は重度のうつ状態ははなく
学業や仕事、あるいは主婦としての
役割を果たしながら、それなりに
社会的に適応した生活をできている場合が多いです。

ただ、対人ストレスや環境の変化といった
ストレスがいつもよりも上乗せされ、
それに耐えきれなくなると
典型的なうつ病といって良いような
重度のうつ状態になることがあります。

普段は軽度~中程度のうつ状態なのと
物心ついたころからいつも落ち込んでいる、
対人緊張が強い、何事にも不安が先立ってしまう
といった体験の中で生きてきたため

「この状態は自分の性格なのだ。
 だから一生、こうした自分とつきあっていくしかない」
といったつらさ、無気力感の中で
日々を送っている人が多いです。

ただ、こうした人達の状態が「性格」ではなく
「うつ病圏である」とわかってきた理由の1つが
(純粋なうつ病と同様に)ある程度抗うつ薬が効き、

服薬後は別人のように朗らかになったり
微笑をよく浮かべ、穏やかで寛容な
受け答えをできるようになったりする例がみられたからです。

つまり脳内ホルモンの分泌具合が
普段から乱れやすく、これが抗うつ薬や
その他の手段でサポートされると
本人の本来の人の良さ、中立性が
見えやすくなる、と考えることができます。

なのでこうした人は、通常のうつ病/うつ状態の
改善法はもちろん、
長年自分の気弱さや人見知りを
「自分のダメな性格だ」
と思い込んで下がってしまった自己評価を
上げる心理カウンセリングを受けたり

自己肯定感を上げる
セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」
などを学び、身につけていくこと
特に必要でしょう。

以下の書籍がおすすめです。

(2)双極性障害(躁うつ病)

※最近増えている(ように見える)「双極性障害Ⅱ型」は
診断名として本当に双極性障害なのか、
それよりも発達障害やトラウマ性の不安が混じった
病態ではないのか、といった議論が
医学界で続いているので、ここでは
昔ながらの典型的な双極性障害(Ⅰ型)、
いわゆる躁うつ病についての説明だと思ってください。
。。。。。。

双極性障害は、通常のうつ病以上に
生物学的因子、すなわち遺伝的な体質の
影響を多分に受けます。

このため、心理的アプローチだけでなく
生活習慣を改善して
自分のエネルギーの暴走や
その後の消耗によるうつ状態の再発を防ぐための
自己モニターをかなり厳密に、意図的に行うよう
自分を訓練していく必要があります。

しかし躁状態は本人にとっては
「何でもできる、頭がよく回るし
眠らなくても、食べなくても
エネルギーが湧き上がってきて
いくらでも行動できる。
自分ってすごい!」

と感じられるので、なかなかそれを
手放したくない、という心理が働きます。

その結果、数週間から数カ月後には
再びうつに転じ、消耗状態からくる
ひどい落ち込みに苦しむことになるのです。

躁状態になったとき、あるいはなりかけている
タイミングでそれに気づき、
自己制御できるようになるまでは、
10年から20年、あるいは一生かかる人もいます。

うつの苦しみからようやく脱した後の
エネルギッシュで良い気分と体調を、
わざわざ自分である程度抑えて小出しにするなんて、
誰が好き好んでやるでしょうか。

しかし

・躁状態で健康を害し、お金を浪費し、
 対人関係を(おせっかいや過剰な自信による言動で)壊す
・うつ状態で何もできなくなり、仕事も家庭生活も破綻する

というパターンから脱出したければ、
自身のバイオリズムに気づき、受け入れ、
自己訓練していくしかありません。

そのためにも、以下の書籍がおすすめです。

不眠

不眠も、多くの現代人が抱える悩みです。
また悩んでいないにしても、日本は世界でも類を見ないほどの
慢性短時間睡眠の人が多いと、統計研究でわかっています。

睡眠不足や質の低下は、単に眠いだけでなく

・認知能力、判断力、記憶力を下げる
・ストレスに弱くなる
・心臓病、がんの発病リスクを上げる
・ホルモンバランスが乱れ、食欲が増して太りやすくなる

などなど、デメリットがいっぱいです。

そしてこのとき、飲酒するのは逆効果。
お酒は寝つきを良くするものの、
睡眠の質を下げ、中途覚醒しやすくなりますし、
翌日からの落ち込みや不安を誘発しやすくなります。

メンタルクリニックには睡眠薬を
求めて来院する人も多くおられますが、

この後お伝えするような
・生活習慣の改善
・ネガティブ思考にふける習慣の改善

をしない限り、たとえ一時的には睡眠薬で
効果は出たとしても、いずれ再発し
もっと薬をほしくなり、増量すれば
依存症にもなりかねません。

なので不眠が生じたときにはまず
「自分の生活習慣や考え方の習慣の
 どこを修正したら良いか?」
という点に注目し、改善していきましょう。

以下の記事で詳細内容を確認できます。

不眠解消法を自分で身につける方法
不眠を認知療法的に治すには
夜勤する人の不眠対処用行動療法


強迫性障害

現代社会は、かなり強迫的であり、また
それを「良し」とする社会です。

そして発展途上国よりも先進国でその傾向が強いのですが、
なかでも日本は、ダントツに強迫的といえます。

この強い強迫性のおかげで世界に類をみないスピードでの
発展や技術向上を実際に手にしてきたので、
強迫的に確認すること、つまり完璧をめざすことは
良いことだ、という価値観が根づいています。

例えば医療や交通機関における
ダブルチェックやトリプルチェックなどが典型的です。

確かにこれらの分野では人命がかかっており
ミスは許されるべきではないのですが、
「そこまでしなくても・・・」
という場面は、やはりあります。

例えば電車が人身事故や自然災害のせいで
運行が5分遅れただけで
「申し訳ございません」
と繰り返し、車内放送されるなどです。

どんな良い価値観や習慣も
いきすぎは害が出てきます。

強迫性障害の背景にある不安は
もちろん完璧主義だけからくるものではないのですが、
強迫性障害の発症と悪化を促進する因子なのは
間違いないでしょう。

強迫性障害を自分で改善するコツ
の中でも書いていますが、
私自身も、もともとの気質が
心配性で不安が強く、一時は強迫症状が
出ていたこともあります。

そして強迫性障害に限らず、例えば

・パニック障害
・社交不安障害
・心気症(ささいな身体症状から、
 自分は致命的な病気に違いないと思いこむ)
・摂食障害
・アルコールなど各種依存症

の背景にも、半ば自覚できていない
慢性的不安があります。

今回は「強迫性障害を自分で改善するには」
という内容で、以下の情報をアップしていますので
ご活用ください。

強迫性障害を自分で改善するコツ
強迫性障害と上手く「共存」する方法
 

<参考図書>

パニック障害

ある日突然、動悸や息苦しさ、倒れそうになる恐怖と
不安の発作を起こし、救急車で搬送されて
病院を受診するも「異常なし」といわれて帰される。

しかし「もう2度とあんな体験はしたくない」
と、苦手な状況(満員電車、途中退席できない会議、
歯医者や美容院e.t.c.)
を避け続けるうちに、次第に社会生活困難となり

気づいたら引きこもり、休学してしまったり
職を失ったりしてしまう・・・。

これらは、パニック障害への初期対応法を
誤ったがゆえの結果です。

パニック障害は現代人に決して珍しくない症状です。
しかしそれを
「身体病であり、検査と薬物療法で治るはず」
と思っている限り、せいぜい一時的に症状を
薬で紛らわすだけで、本当の意味で治りません。

本当の意味で治るためには、以下の真実を知り、
理解・納得する必要があります。

・パニック発作とは、慢性的な心理ストレスが
 身体症状に転換されたものである。
 したがって、パニック発作で死ぬことはない。

・普段、ほとんど無意識に抑え込んでいる
 本音やネガティブ感情を、
 しっかり棚卸しし、心理的ストレスを
 開放する必要がある。

・症状の克服には、行動療法によって
 少しずつ自己訓練していくことが必須である。

以下の記事で、こうした内容を具体的に詳しく述べています。

パニック障害の本質的治療とは
パニック障害を自分で治すコツ
パニック障害を自分で治す行動療法
パニック障害への誤解【その認識のままでは治らない】

社交不安障害

社交不安障害も、現代に非常に多いです。
しかも

・10代前半で発症するため、
 内気で対人不安が強いのは
 自分の性格だと思ってしまい、このため
 治療を受けず、長年苦しんでいる人が多い。

・うつ病などと違って
 自然経過で軽減するということはなく
 むしろ年数が経つほど症状が悪化しつつ固定化してしまう。

という特性があります。

社交不安障害が病気だと認識されるようになったのは、
こうした症状で受診した人に
抗うつ薬(特にSSRIといわれる種類のもの)を投与したり、
心理療法を継続することで
明らかな改善がみられたからです。

そして他の不安障害と同様に、治療目標
「不安をゼロにしようとするのではなく、
 不安を抱えつつも、必要な行動はできるようになること」
です。

以下の記事に

・どんな家庭環境だと、社交不安障害を発症しやすいか
・社交不安障害の人が持つ、間違った価値観
・社交不安障害の人にありがちなコミュニケーションパターン
・社交不安障害の自己治療法

などについて詳しく述べていますので、ご参照ください。
社交不安障害を自分で改善する方法


<参考図書>

摂食障害

摂食障害とは

摂食障害(拒食症、過食症)は近代社会で増えている疾患です。
従来は「若い女性のみに発症する」と思われていましたが、
最近は男性でも「ストレス食いで非常に太ってしまった」例は
そう珍しくありません。

また男の子、特に10歳~14歳くらいだと、
命に差し障るほどの拒食とやせになってしまい、
入院になった事例も、何人か経験しています。

女性だと

・生理が止まり、入院しなければならないほどやせてしまう拒食症の人
・拒食症から過食に転じ、食べ吐きを繰り返すことで
 やせすぎ体型を維持している人
・拒食はあまりなく、最初から過食。
 過食でぽっちゃりするか、
 過食嘔吐で通常かやや低体重を維持する人

といった、いくつかの典型的なパターンがあります。

これら3つのパターンにより、ある程度の心理的な違いや
改善法の違いはあるにせよ、それは枝葉部分で、
おおもとの原因は一緒で、以下の点になります。

摂食障害を持つ人のメンタル、典型的3パターン

・自尊心が低く、適切な自己主張や、
 自分がこうしたいと思ったことを自発的にできない

・家庭環境が不適切(後述)だったため、
 不安が強く悲観的

・遊び心が少なく「べき」「ねばならない」思考が強いので
 リラックスして好きなことをして楽しむことができない

摂食障害をきたす「不適切な家庭環境」とは

「家庭環境が不適切」とは、どういう意味でしょうか。
典型的な例を以下に挙げます
(水島広子著『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』より引用、加筆)。

(1)親に存在価値を否定された。

親は最大の味方のはずなのに虐待された、
「あんたなんか産まなければよかった」など存在否定された、
常に他人と比較されてけなされた、など。

(2)努力を正当に評価されなかった

努力をしてもそれが当たり前のように扱われた、
努力自体を認めてもらえず、結果に対してケチをつけられたなど。

(3)過保護な親に全て先回りして決められてしまった。

このため本人は自分なりの試行錯誤をさせてもらえず
その結果、自分の判断や行動に対して自信が持てないまま成長してしまう。

(4)自分の意見を表現することを尊重されなかった。

何か意見をいうと「生意気だ」「わがままだ」と却下される、など。

したがって対処法

・親をはじめとする他者に、適切に自己主張できるように練習する。

・「拒食や過食はその時の自分のストレス度のバロメーターだ
 という観点を常に忘れず、
 拒食や過食が強まったときには、何がその引き金だったのかを
 その日のうちに考え、ノートなどに書き出す。

つまり拒食や過食や食べ吐きといった症状そのものや、
体重自体には目を奪われないようにする。

・自分が問題のあるコミュニケーションパターンをしていないかを
 振り返り、代わりにどう応答したらよかったのかを
 ノートに書き出す。

となります。


「問題のあるコミュニケーションパターン」とはどんなものか、
「適切な自己主張」とはどんなものか
については、他の不安障害と共通なので、
以下の記事や書籍をお読みください。

<関連記事>
社交不安障害を自分で改善する方法

<参考図書>

境界性パーソナリティ障害(BPD)

境界性パーソナリティ障害は、アメリカでは1970年代、日本では
1980年代後半から1990年代にかけて特に話題になったメンタル不調状態です。

その多くが同時に「アダルトチルドレン(AC)」
呼ばれる人たちでもありました。

ACとは、アルコール依存症の親のいる家庭などで育ったり
虐待を繰り返し受けながら育ったために
他人を信頼できないし、自尊心も非常に低い、
そのために極端に不安定な対人関係と、気分の浮き沈みが著しい
といった特徴を持ちます。

2010年代に入ってからはACはあまり注目されなくなり
代わりにADHDなどの発達障害がクローズアップされています。

このように、ブームになるメンタル不調にはその時々で変動しますが、
人間の心理はそんなに短期間で変わりません。

なのでメンタルクリニックに受診される人も
10数年前までは「自分はACなのではないか」という人が多かったのですが
最近は「自分は発達障害なのでは」に変わっています。
しかし根っこにある悩みは変わりません。

それは

①自尊心(自己肯定感)の低さ
②気分の浮き沈みの激しさ
③対人関係の不安定さ

です。

診断基準(参照ページ:https://msdmnls.co/3dz20v6)から概要を
ピックアップすると、境界性パーソナリティ障害の人は
以下の特徴を持ちます。

・常に空虚感を感じており、それを解消するために
 いつも他人に愛され、気遣われたいと思う。

・空虚感を背景に、気分の不安定、特に落ち込み、イライラが出やすく、
 ちょっとしたきっかけで激怒する。

・出会った人間に対し、100%良い素晴らしい人だと過大評価するか
 全くダメな人とかのどちらかの評価しかできず
 ほどほどの中間の評価をして人間関係を維持する、ということができない。

・素晴らしい人だと思っていた人が、少しでも意に沿わない言動をすると
「予想と違って、全然ダメな人だった」と切り捨てる
 あるいは「相手に見捨てられる」との極端な受け止め方をする。

・見捨てられ不安や空虚感が強まると自分で対処できず
 リストカットなどの自傷行為や自殺行動、過食嘔吐、
 アルコールや買い物、(不特定相手の)性行動などへの依存で
 空虚感や不安感、落ち込みを逃れようとする。


境界性人格障害はこのように重度で激しい症状が10代の頃から
出現・持続しており、心理療法や向精神薬でも
効果は限定的、とされてきました。

しかし2000年代ころから「第3世代の認知行動療法」ともいわれる
ACTやDBTといった新たな心理療法が開発・研究され、
2010年代はその成果が続々と確認されるようになってきています。

もちろん重症なら専門家に個人カウンセリングを受ける必要がありますが、
ACTやDBTの良いところは、中程度までの病状の人なら
一般向けのワークブックを読み、継続的に取り組むことで
自分でも改善可能なことです。

ACTやDBTの具体的な内容や使い方については、
最新の認知行動療法を使って、自分でメンタル不調を治す方法
に書いてありますので、参照してください。

発達障害

2010年代に入って以降、急速に注目され、そのぶん「自分もそうではないか?」とメンタルクリニック受診者が急増している病態です。

実際には非常に広い病像や状態を含み、
一言でまとめての解説はとうてい無理です。

ただ、自分を発達障害と疑っている、もしくは既に診断を受けているとしても、この文章を読んでおられる人ならば障害の程度は軽度で、
主に以下の支障が出ているので、さまざまな情報を検索し
ここにたどりつかれたのでしょう。

代表的なものは、以下のものです。

①物事の優先順位がつけられない。

②マルチタスク(複数のことを平行して行う)が非常に苦手。

③忘れ物が多い、物をなくしやすい。
 しかも財布やスマホ、会社の重要書類といった重大なものでさえ、
 気をつけていても、繰り返し紛失してしまう。

④時間の見積もりが甘く、また気を散らされやすくて
 途中で余計なことをしてしまいやすく、このため
 身支度を整えて出発する、といったことが制限時間内にできず
 しばしば遅刻する。

⑤オフィスなどで、周囲の物音などが気になって
 なかなか集中できない一方で、いったん集中すると
 次の予定のために今の作業を止めることができず、遅刻したり
 大事な約束を反故に(つまり無断キャンセル)してしまう。

⑥相手の言っていることの、表面的な言葉の意味はわかるが
 いわんとしている本質、本音が理解できない。

⑦場の雰囲気が読めず、不適切なタイミングや内容を発言してしまう。

特に③~⑦があると、職場で「できないやつ」と思われたり、
職場の人間関係はもちろん、友人関係などプライベートな
人間関係も誤解を受け、良い人間関係を維持できない、
ということにもなりがちです。

発達障害は双極性感情障害などと同様に、脳の「体質」によるところが大きいので、できるだけ長所を活用して短所は工夫(後述)でカバーし、
社会にうまく適応していけるようになることがポイントです。


【発達障害の人が社会になじむための3つのアプローチ】

(1)実用的スキルをフル活用して長所を伸ばし、短所を最小に抑える
(2)マインドフルネスを習得する
(3)運動療法

1つずつ解説します。

(1)実用的スキルをフル活用して長所をのばし、短所を最小に抑える

①長所をのばす

自分が関心を持てるものにはとことん集中したり、
細かなところにまでこだわって完成度の高い物を作り上げる、
ということは自然にできます。

このためプログラマーとか、(数字に興味が持てるなら)経理とかを
社内で任せてもらえると、高い集中力で仕上げることができます。
また自営業とか副業で、自分が好きな物を作って販売したり
情報発信することが向いている人もいるでしょう。

職場では、可能な限り

・単独ででき、あまり他人とやりとりせずにできること
・期日がゆるく、マイペースでできること
・個室か、それが無理なら机をパーテーションで区切るなど、
 他者の視線や気配を減らして集中できる環境

が得られるように、上司等に相談するのも非常に役立ちます。

短所を最小限にする

まずは自身の脳の特性を理解・受容し、その特性を周りの人にも伝えます。
その際には
「自分はこういう特性があるので、こういう業務や作業は
こういう理由でかなり苦手。
なのでできるだけ、こういう対応をお願いしたい」
と伝えましょう。

代表的な要望としては、以下のものです。


・締切がある業務は、できるだけ早めに、猶予のあるうちに予告してほしい

・既に作業にとりかかっている時に、割り込み作業を指示されると
 非常に混乱するので、どうしてもという場合以外は、入れないでほしい。

・入れざるを得ない場合も、思いついた時にいきなり声をかけるのではなく
昼休みや出勤時など、作業から離れているタイミングで伝えてほしい。

・口頭のみでの指示では、内容を理解したり記憶しておくのが
 非常に苦手なので、できるだけ書面か、
 少なくともメモ書きを示しながら説明してほしい。


これを上司をはじめ、周囲の人に伝えることが、
ADHDをはじめとする発達障害の人がその特性を活かして
最も生産性を上げやすくなり、結果的に会社のためにもなるからです。


また自分自身でも


・約束や予定は、決まった途端にグーグルカレンダーなどに記入する。

・予定が近づいたらリマインダーが自分のスマホに送信されるように
 設定しておく。

・「明日の持参物」は今夜のうちにまとめて玄関に出しておく。

 荷物が複数ある場合にはカラビナなどでつなげておき、
 「1つ置き忘れてきてしまった」がないようにする。

キーファインダーを活用し
 貴重品の紛失を防ぐ。

・特に大事な要件が本日ある、といった場合には、
 スマホのロック画面にその情報を設定しておく。


といった工夫をし、気がそれたり、優先順位を失念したり
なくしものをしないようにしましょう。

以下の本も非常に参考になります。

(2)マインドフルネスを習得する

多くの「発達障害」「ADHD」(自分で疑っているレベルでも、実際に診断を受け、薬物療法を開始している場合でも)の大半の人は「多動」は目立たず、
主に「不注意」ないし「注意の偏りや集中力が続かないこと」が
悩みの中心であることが多いです。

※「対人関係で上手くいかない」、「場の空気が読めない」といった症状にも
背景に「相手の発言に注意を向け続けられない」「他の人達の会話中に上の空になり、流れについていっていない」ことがあると考えられます。

ここ数年、徐々に知られるようになってきたマインドフルネス瞑想」は、
この「自分の注意のさまよい」に気づきやすくなり
注意すべき対象に意識を戻すことができるようになる
という効用があります。


その他にも、心身がリラックスするので

・落ち込み、不安、イライラ、怒り、悲しみといった感情の軽減
・不眠の改善
・高血圧や各種の痛みなど、慢性緊張が引き起こしがちな身体の諸症状の軽減

といった、多くのメリットがあります。

2010年代からはたくさんの優良な書籍や、一緒に実施してくれるYou Tube も
多数公開されていますので、理論編から実践編まで、
独学でも身につけることが可能です。

私のブログでも以下の記事が参考になります。

「マインドフルネス(今ここに集中)」ができる人ほど、どんどん幸せ感を感じられるようになる

マインドフルネスを活用できない人の特徴

【Q&A】マインドフルネス(今ここに集中)V.S.「将来への計画性」の違い

以下の動画では、不安をはじめとするネガティブ感情から
距離を置くイメージワークを紹介しています。
嫌な思考から距離を置くイメージワーク「冷蔵庫法」 

(3)運動療法

2000年代初頭までは、運動とうつ病などの精神症状・精神疾患は
直接的関係はないと、医学界でも思われていました。

運動することで気分転換され、その結果うつや不安などが
多少楽にはなるだろう、でも所詮間接的な効果で、
主な治療法といえるほどではない、という見解です。

しかし2010年に改定されたアメリカ精神医学会の「うつ病治療ガイドライン」に初めて、うつ病への運動療法が有効であると公表されました。

その後の各種研究でも、以下の効果があることがわかってきました。

【運動療法の効果】

朝散歩をすることで脳内ホルモン「セロトニン」が増え、それにより抗うつ効果が発揮される。

セロトニンは最近最も多用される「SSRI」と呼ばれるタイプの抗うつ薬が
なんとか活性化しようとしている物質です。
うつ病の人のセロトニンは、かなり減っています。

薬物療法では、患者の数少なくなっているセロトニンの利用効率を上げることで抗うつ作用を発揮しますが、セロトニンの量は増やせません。
それに対して朝日を浴びて散歩することで、脳が自前のセロトンを生産する、
つまり量を増やせるのです。

筋トレやウオーキングでもある程度のメンタル改善効果があるが、心拍数を上げる運動を週2~3回程度、1回数分から十数分するだけでも不安と落ち込みを明らかに減らせる。

②の運動法は「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」と呼ばれ、
その人の最大心拍数(※)の80~90%」という高強度の運動を
数十秒程度と、その0.5~数倍の休憩時間を交互に行なう
というのを数セットから20セット実施する、というものが多いです。

(※)最大心拍数=年齢-220
 例)30歳なら220-30=190

HIIT については、こちらの記事に解説してあります。
最も効率的にメンタルも身体も強化してくれる運動法、HIITとは

もともとのHIIT には跳躍なども含まれていましたが
集合住宅に暮らす人が多いことを考慮し、最近では
跳躍なしも十分負荷を与えられるメニュー
多くのYou Tube 発信者が提供してくれてます。

例えば以下のものです。
【4分だけ】マンションでも!有酸素より効率よく脂肪を落とそう(HIIT)

【静かにできる】HIITトレーニング。(マンション用)1日10分の筋トレ。

HIITの極め方①ミトコンドリアから人生変える最強の運動

HIITの極め方②70歳でもできる10のHIITトレーニング初級〜中級編

上記4本の動画のうち、2本目までは動画を見ながら一緒にやることで
HIIT ができるようになるというもの。

3本目はHIIT が心身にいかに多くの劇的効果があるかを解説。

4本目は、他では知られていないような、HIIT の応用バージョンを
10種紹介しており、自分の体力や生活パターンに応じて取り入れることが可能です。

3、4本目を、特にフルバージョン版で見ると
もう途中から、やり始めたくてしょうがなくなるでしょう
(実際、私がそうでした)。

運動は全てのメンタル不調に対して効果があります。
その実例集ともいえる本が、アメリカの精神科医が書いた以下の書籍です。

逆に、常にスマホやパソコンなどでインターネットにつながっていないと
落ち着かなくなる、という人はネット依存症です。

もし、あなたの注意散漫・集中困難が子供時代からでなく
最近(特にスマホが普及した2011年以降)悪化しているとしたら
発達障害という生まれつきの脳機能の偏りではなく
健常者なのにネット依存症になっている、と考えたほうが良いでしょう。

もちろん発達障害のある人がネットにハマると
一層急速に重症化しますので
要注意です。

この辺りを、スウェーデンの精神科医が書いた本で、
2020年から日本でもベストセラーになった
以下の書籍で詳しく知ることができます。

発達障害については、運動がそれを「治す」ものではありませんが、


運動によって

・注意力、集中力を明らかに増強する
・その結果、周囲の刺激や、自分の思いつきに振り回されてやるべきことが
 後回しになってしまう、ということが起こりにくくなる
・衝動的な怒りやイライラをコントロールしやすくなる
・不安や落ち込みが減る
・上記の結果、対人関係も改善する

といった効果があります。

なのでぜひ、できるところから取り入れていってください。
運動を習慣化することは、あなたの一生の資産となります。


<関連記事>
動かないと、心も折れる【あなたのうつ・不安は外出不足と行動不足から来ている件】

<関連動画>
運動するとうつ病が治る?!  
動かないとうつ病のようになる  


幻覚のある人

幻聴や幻視といった幻覚がある疾患の代表が統合失調症ですが、
近年は特に若い世代を中心に不安障害圏でも
幻覚(主に幻視)を訴える人が増えてきています。

以下の記事では、統合失調症と不安障害の人に分けて解説します。

統合失調症

「軽症化」してきた現代の統合失調症

昔に比べ抗精神病薬も改善され
「1錠のんだだけでグデングデンに鎮静され、口もきけなくなる」
という処方のされ方は減ってきています。

また、「同僚みんなに嫌われ、嫌がらせされている」
といった訴えは、病気でなくても思い悩む人も少なくないでしょうし、

あるいは
「転居した家がシックハウスで、体調が悪くなった。
 自分はもともと化学物質過敏症ぎみだし」
という主訴で内科受診しても、そういうこともあるだろう、と
当初は相手も受け止めます。

このレベルの症状のうちは、本人は不安が強くても
最低限の身の回りのことや、仕事もできたりするので、
周りも精神病を疑うことはあまりありません。

こうした方々は、主に不安や不眠、落ち込みやイライラで
比較的早期に心療内科を受診するでしょう。

2000年代に入ってからは、例えば1980年代と比べても
メンタル不調への偏見がかなり減り、
おかげで軽症のうちにメンタルクリニックを受診する人が増えました。

また2015年から「ストレスチェック制度」が実施され
企業は社員の身体の健康と同様に心の健康状態を年に1度はチェックし
把握しておく義務が生じたことも、良い影響を及ぼしています。

「身体と同様、心も意識して健康を保つ必要があり、
社員の心身の健康を損ねる職場はブラック企業として問題視される」
という風潮が根付いてきたことも役立っています。

このように、本格的な幻覚妄想状態に進行する前に
心療内科を受診する人が増えたおかげで、
比較的少量の処方で治療を始めることができるようになりました。

臨床医の間では2000年ころから
「最近は統合失調症が軽症化しているよね」
といわれるようになったのも、こうした複数の因子のおかげです。

薬物では「根本治療」はできない

しかし薬は「幻覚妄想や興奮、不眠」といった目立つ症状(これを
陽性症状」といいます)には比較的速やかに効くことが多い一方、
「陰性症状」には無効か、効いても限定的、とは昔からいわれてきました。

陰性症状の代表的なものは、以下のものです。

・自宅に閉じこもり、何もしない。
 放っておくと自室にいてゴロゴロしているか、せいぜいテレビ
(現代ならスマホ)を眺めているのみ。

・他人に会うのを極端に嫌う。

・感情表現が乏しく平板で、一見鈍感そうに見える。

・全く孤独でも気にしない。むしろ心地よいと感じている。

といったものです。

陽性症状が取り切れていない場合には、幻聴に向かって独り言の返事を
したり、その「会話」内容なり妄想内容に没頭しニヤニヤしていたりします。

このままではもちろん、社会復帰は望めません。

そのため製薬会社は「陰性症状に効く」のをウリにした新薬を
ここ何十年も開発・発売し続けていますが、ほとんど実用的なものではない、
というのが臨床医の一致した実感です。

栄養療法で精神症状を治療できる

そこで新たな希望になるのが、分子整合医学による栄養療法
分子整合栄養療法、オーソモレキュラー栄養療法)です。

詳しくは「分子整合栄養療法」の記事
心を栄養で実際に治せる

でお伝えしていますが、
ナイアシンをはじめとするビタミンとタンパク質などを、
通常の推奨されている量の数倍から数十倍しっかり入れることで
陽性症状はもちろん、陰性症状も治す、という治療法です。

※統合失調症やうつ病などの実際の事例を含む豊富な情報を
一足早く読んでみたい方は、こちらもご参照を。
うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際

以下のサイトからは、全国のオーソモレキュラー療法導入医療機関を
検索できますので、受診希望者は最寄りの機関に問い合わせてみてください。
オーソモレキュラー栄養医学研究所 

また、あまり知られていないことですが、
活発な幻覚妄想を薬で急激に消滅させると、患者さんが引き続いて
中程度から重度のうつ状態に陥ることがあります。

これは無意識(深層心理)において幻覚妄想がどういう役割を担っていたのかをわかっていると納得する現象なのですが、
このうつ状態のせいで患者さんは結構つらい思いをします。

本当は深層心理にも精通した心理カウンセラーのカウンセリングを受けるのが望ましいのですが、ただでさえ精神的に消耗している本人にとっては、
あまり実用的ではありません。

これに対しても分子整合栄養療法は大きな力を発揮します。
ナイアシンそのものが抗うつ作用を持つため、幻覚妄想が消えて
ぽっかり空いてしまった心の穴を、
適度な安心感や意欲で補充してくれるのです。

ということは、無気力と対人接触を避けたがる、
前述の陰性症状にもよく効きます。

精神症状改善後はできるだけ早期に社会参加訓練することが、自立人生のために必須である理由

それから、幻聴への取り組み方で大切なことは、
「幻聴内容を信じ込み、没頭してしまう」
という状態から
幻聴は、自分のストレス度を示すバロメーターである
という観点に立つ練習をする、ということです。

統合失調症はかなりの部分、生まれつきの脳の「体質」が影響します。
ストレスがかかった時、それが頭痛で出る人、パニック発作になる人が
いるのと同様に、幻聴や妄想として表現されてくる、ということです。

『正体不明の声――対処するための10のエッセンス』

では、統合失調症の人が幻覚妄想状態に陥りやすいリスク状況として
以下の4つを挙げています。
不安、不眠、孤立、過労

なので人を避けすぎて孤立したり、勉強や部活などで過労になったり
睡眠不足が続くような状況は、危険信号です。

幻聴をはじめとする幻覚や、そこから派生する妄想が強まったときには、
最近「不安、不眠、孤立、過労」をきたすような生活パターンに
なっていないかを振り返り、できるだけ早く改善する必要があります。

ただし、対人関係を上達させるには、実際に多くの対人関係を
経験しなければなりません。

ここが分子整合栄養療法においても課題で、
長年引きこもっていた統合失調症の人が栄養療法で症状が
ほとんどなくなったとしても、
それだけでは社会復帰はおぼつかないのです。

統合失調症の多くは10~20代の若者世代で発症します。
この時期は心も身体も急速な成長をとげ、また親の保護下で学生生活を
していた立場から、自分で責任をとり、生活費を稼ぐ社会人へ、
という大きな切り替え時期です。

本来はこの時期にはクラスメイトや友人たちと喧嘩したり仲直りしたり、
誤解したりされたり、友情や恋愛に思い悩むなかから
精神的に成長していきます。

しかし統合失調症の幻覚妄想のせいでいっさいの現実的な人間関係や
社会的役割から離れたまま長年過ごすと、
年齢は重ねたがそれに見合った人生経験もなく、そのため
どんな場面でどう振る舞えば良いかの判断もつかず、
学校や会社などの集団に戻っても周りになじめず
ドロップアウトしてしまいがちなのです。

このために、昔から統合失調症の患者さんたち向けの
「デイケア」や、「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」という
社会復帰プログラムが用意されています。

もしもあなたやあなたのご家族が統合失調症で、ある程度
症状コントロール可能にはなったが引きこもったまま、という場合には、
ぜひ上記のプログラムを検索するか、
地域の保健所や最寄りのメンタルクリニックで
そうした活動をしていないかを問い合わせ、
できるだけ早く参加されることをおすすめします。

以下の記事も参考にしてください。

<関連記事>
「ただ対人刺激を避けていては社会復帰できない理由と対策」


<参考図書>

不安障害圏の人の幻覚

不安障害ーーすなわち漠然とした不安、特定の状況(閉鎖空間や人前に出ること、高所や不潔、対人関係e.t.c.)への不安などが非常に強まった結果、
一見精神病のような、幻覚を生じる場合があります。

統合失調症の幻覚のほとんどが幻聴なのに対し、
不安障害圏の人の幻覚は幻視がメインになることが多いようです。
そして「後ろにだれかいて、自分を見ている」とか
「カーテンの陰から自分を観察している」
といった体験をして、怖がる人もいます。

中には幽体離脱(自分が身体を抜けて上から見下ろしているとか、
身体を離れて遠方に飛んでいく)のような体験をしたり、
自分が見ている物体(例:マグカップ)に自分が入り込み、その物体の
視点から自分を見つめ返している、といった体験をする人もいます。

またそこまで劇的でなくても

「自分が自分でないような感じ」とか
「自分と周囲の現実の間に膜がかかったみたいになり、現実感が薄れている」

と訴える方もおられます。

「多重人格」になる人がいるわけ

これが著しくなると「別人格」が現れて、普段の「本人格」とは全然別の
言動をし、しかも本人格はそれを忘れているので
周囲の人に後で指摘されて驚き、不安になる、ということもあります。
これがいわゆる「多重人格」といわれるものです。

こうした諸症状が起きる背景には、その人が本音で生きることを
長年抑え込んでいて苦しくなる、という状況があります。

例えば嫌いなタイプの人と無理に合わせてつきあっていたり、
仕事やプライベートで、本音では絶対にやりたくないようなことを
断れず、いやいや続けている場合です。

その結果として自己肯定感が低下し、現状の自分の人生に
満たされない思いが強まっていきます。

がまんし、フタをしていた本音がたまりにたまり、ついには抑えきれなくなったころに爆発したり、体調不良を起こして活動できなくなる人は多いですが、
その代わりに(無意識レベルで)自分の心を分割し、
「悪い子」の部分は切り離すことで、それまでの「良い子」という
自己イメージを維持しようとするのわけです。

このため、「別人格」は以下の特性を持っている場合が多いです。

・本音をズバズバ発言し、周りに配慮しない
・汚い言葉や性的な発言も平気でする
・暴力的
・性的に奔放になる(不特定多数の人と性行為するなど)
・お金にルーズになる(浪費やギャンブルなど)

ある人の場合は、普段は従順な会社員だったのですが
ある日、いきなり激昂し上司をなぐり倒してしまい、
しかも本人はそのことを全く覚えていなかったため、
精神科初診となりました。

つまり「本人格」が到底自分に許せないような言動を、
自分とは別の人格が実行したのだということにし、
しかも「本人格」はそのことを忘れることで
「私は感知していない、したがって責任もない」
という立ち位置にもっていくわけです。

もちろんこれらは全て無意識のうちに行われるため、
周りが本人を責めても「治す」ことはできません。

それよりも治療法としては、別人格を作らねばならないほどに
普段、抑圧している自分の本音に向き合い、本当はどうしたいのかを探り
そこに近づけていくために、毎日の生活でどうしたら少しずつでも
もっと本音を出していけるかを考えることです。

当初は1人では難しいでしょうから、心理カウンセラーの助言を受けながら、ということになるでしょう。

本音を出すためには、本音を伝える際の、
相手への伝え方に工夫する必要があります。
長年本音を抑圧してきた人は、相手に伝え慣れていないので、
伝えようとするといきなり極端な表現をして相手の気持ちを傷つけたり、
感情を爆発させてしまったりします。

これでは相手もムッとして反撃したり、自己防衛的になり、
話をまともに聞いてくれなくなるでしょう。

それでは逆効果なので、相手にどういうタイミングで
どんな言い回し、話の順番、内容で伝えれば良いのかを
予めじっくりとシナリオを練り、何度も練習してから臨む必要があります。

そしてその結果、上手くいったか、そうでなかったかを
シナリオを書いたノートに書き込み、改善していきます。
そして改善したシナリオで再トライ・・・といった、
日頃の訓練が必要です。

それは英会話を学んだり、楽器を弾けるようになるために
毎日練習するのと全く同じです。
以下の書籍も参考にしていただければと思います。

 

<参考図書>
(統合失調症の人用)

統合失調症に似て非なるものーースピリチュアル・エマージェンシー(SE)

スピリチュアル・エマージェンシー(SE)とは

数はとても少ないですが、
症状だけ聞くと一見、統合失調症だが、中身は全く違うという、
スピリチュアル・エマージェンシー(以下SE)
とトランスパーソナル心理学で呼ばれている病態があります。

これはインドのヒンドゥー教では昔から「クンダリーニの覚醒」、
日本でも18世紀の禅僧が陥った心身の危機状況が「禅病」という用語で伝えられてきましたが、それらの状態と大部分重なると考えられています。

その症状は多彩ですが、身体症状としては

・全身がほてる、焼けるように熱い、頭がのぼせる
・下肢が氷のように冷たく、痛い
・全身の痛みや違和感、耳鳴り、発汗、涙が止まらない
・身体の不随意な(つまり意思とは無関係な)様々な動きが止まらない、
 けいれん

など、その多くが自律神経の著しい乱れによると考えられるものです。

そして精神症状としては

・強度の不安・恐怖感、思考力低下、不眠
・精神が消耗したような感じ
・寝ても覚めても幻覚が見える(幻聴のこともある)
・個人としての境界が消え、周り(他人、自然、宇宙全体)との一体感を経験
・体外離脱体験、チャネリング(霊媒的体験)、テレパシー、予知能力
 といった、いわゆる超能力的体験

などが知られています。

SEは合宿形式のスピリチュアル修行所で瞑想や修行(特に肉体を追い込むような過酷なもの)をやり過ぎた場合に起こりやすいといわれていますが、
それまでスピリチュアルや瞑想など全く興味がなかった個人が
重病や、精神的に非常に大きなストレスを体験中あるいはそれに引き続いて起きる場合もあります。
一方で、これというきっかけもなく突然発症する場合も皆無ではありません。

最近では、占い師やスピリチュアル・カウンセラーなどとして
自身の潜在意識を普段から使っていた人が、心身の負荷が特に強まった時期に
発症した、という事例も聞きます。

統合失調症と誤診される

いずれにしても、こうした病態があることを知らないと
本人はもちろん、家族が心配して精神科や心療内科を受診する、という流れになるでしょう。

しかし精神科医の99.9%はSEを知らないので、こうした心身の異常、特に幻覚妄想的な症状を訴える人を診ればただちに「統合失調症」と診断され、
抗精神病薬と呼ばれる、幻覚妄想を改善するための薬が投与されます。

確かにこれらの薬によって、それまで数日から数ヶ月もまともに眠れない、
食べられない、恐怖でおののいている状態からは、とりあえず脱することは
できます。

何しろ、SEだろうと統合失調症だろうと、異常体験が続くと興奮しっぱなしになり、そのせいでまともに眠れない、食べられない、恐怖と身体の不快感で居ても立っても居られないという状態になるので、
それらを、薬の強力な鎮静作用でとりあえず抑え込み、
リセットすることは必要なプロセスだからです。

SEと統合失調症では、その後の経過が異なる

しかし薬で鎮静する期間が長くなりすぎると、本人はただただだるく、眠く、
何も考えられず、睡眠時間以外もぼーっとして過ごすだけになってしまいます。

SEと統合失調症を鑑別しなければならない理由は、
統合失調症は薬物療法を含めて(がっつり分子整合栄養療法を行った場合には断薬できる例もごく少数ありますが)きちんと早期治療介入する必要があり、しかも自然治癒はないので、基本的に生涯にわたり医療的サポートが必要だからです。

それに対しSEは「健常人の一時的な病的反応だが、乗り越えればSE発症前よりも人格が成長し、自身や周囲の人たちに対する愛や寛容性が増し、
より充実した人生を送りやすくなる。
つまり医療の介入は一時的なもので良い」のです。

統合失調症は脳の生まれつきの性質により、ストレスで幻覚妄想と、そこから慢性的な意欲低下、人嫌いが強まり、引きこもろうとします。
早期にきちんと治療しないとその先の何十年という人生を自宅にこもったままとなり、社会参加ができない状態で終わってしまう可能性が高いです。

統合失調症への、薬物療法を含む標準的な治療法については、一般に出版されている書籍で学んでいただけますし、分子整合栄養療法の取り入れ方と効果については、この記事の少し前の部分にも書いたとおりです。
なのでここから先は、SEへの対処法について解説します。

SEへの対処法

前述したようにSEにおいても心身が激しく消耗している状態なので、
まずはゆっくり身体を休めることができる環境に入ることが重要です。

そうしたレトリート(休養できる宿泊施設)があればベストなのですが、
ほとんどないので、とにかく1人になれる空間があり、
しかし不安なときにはそれを話したり、気を紛らわせる手段があることが重要です。

この意味で、例えば家族や親友たちと一緒に自然の中にある温泉宿にしばらく宿泊したりするのは、良い選択肢でしょう。

また瞑想やチャネリングのしすぎ、修行のしすぎで神経が消耗しているので
瞑想などはしばらく休み、心身をリラックスさせ、たっぷり眠るようにします。
食事も菜食主義だと身体にエネルギーがなかなか回復しないので、
肉・魚・卵といった動物性タンパク質を多く摂ることが望ましいです。

肉体よりも精神を酷使しすぎた場合が多いので、入浴やサウナ、マッサージやストレッチ、海水浴やハイキングなど自然のなかで軽く身体を動かしながら過ごす、精油(エッセンシャルオイル)をかいだり、身体に塗って嗅覚と触覚を刺激する、ガーデニングや農作業をする、といった、適度に身体を刺激することで自律神経をととのえることが治療的に作用します。

先ほど、ほとんどの精神科医はSEを知らないので、SEの人が症状を伝えた途端、統合失調症の診断と治療を開始されてしまう、とお伝えしましたが、
だからといって、本人やその家族が精神科・心療内科を受診することを
あまりためらわないほうが良いです。

それは先に述べたように、SEの人にとっても、少なくとも強度の不眠が続く
ような時期には薬はとりあえず役立つから・・・ということもありますが、
実はもう1つ理由があります。

99%はやっぱり統合失調症

それは、幻覚妄想状態で統合失調症が疑われる人のほとんどは、
本当に統合失調症だからです。
たとえSEを知っている精神科医にかかっても、
真のSEと判定されるであろう人はごくわずかです。

私は精神科医になって約30年ですが、その間に
「SEだろう、またはSEの可能性がある」と感じた人は、ほんの2~3人です。
それらの人たちも幸い、程度が比較的軽かったため、前述のような対処法を
アドバイスしたところ自分で対処し、2~3ヶ月で落ち着かれました。

仲間の心療内科医(スピリチュアル肯定派)から聞いた事例も2例ほどあり、
その2例とも一時的に精神科病院に入院し薬物療法も受けたそうですが、
症状が改善後は断薬し、もちろんその後入院も外来通院もなく
普通に社会人として自活できているそうです。

なのでこれまで体験したことのないような心身の異常な症状が数日から2週間続き、まともに眠れないなど消耗が激しい場合は、ためらわずに心療内科や
精神科に相談してみましょう。
どうしても診断や治療に納得できなければ、拒否できるのですから。

以下が関連記事です。
私のブログの中でも、特に人気の記事の1つです。

<関連記事>
スピリチュアル・エマージェンシー:それは精神病か、それとも魂の成長か

参考図書は以下です。
一般の方は『私を変えた「聖なる体験」』が、一番読みやすいでしょう。

<参考図書>

各改善法の詳細

記事の文字数が膨大になり、更新の度にエラーが出るようになってしまったため、後半はこちらに移しましたのでどうぞ。

スポンサーリンク


プライバシーポリシー