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楽観性が人生の成功度を決める【能力はその次】
人生を自分の願う通りに進め、成功を手に入れるためには、
生まれ持った能力以上に、楽観的な物事の見方をできることが
重要であることが、長年の臨床心理学研究からわかりました。
そしてたとえ現在のあなたが不安が強く、悲観的なタイプであっても、
この楽観性というものは幸いにして、後天的に
自分で鍛えて、高めていけることもわかりました。
今回の記事を読むことによりあなたは、楽観性がどこからくるのか、
そして現在もし十分楽観性を持っていないとしても、
どうすればそれを高めていけるかがわかるようになります。
。。。。。。
あなたは、楽観的ですか?
それとも悲観的な方ですか?
人の楽観的、悲観的という性格特性は、どこからくるのでしょうか?
「それは生まれ持った気質だろう」という人もいるかもしれません。
また、
「物心ついた時から家庭や学校の環境がよく、金連的にも健康面でも恵まれていたから、自然に楽観的になったんだろう」
と思われるかもしれません。
確かに、恵まれた環境で育てば、懸案事項が少ないから
楽観的な性格になるだろう、というイメージはありますね。
そしてある程度は、その要素もあるようです。
しかし一方で、いくらお金持ちで、社会的に地位もあり、
その意味では有利な家庭環境の中で育ったとしても、
両親がいつも喧嘩していたり、会社の経営が上手くいかなかったり、
あるいは子供である自分自身がクラスメイトと上手く付き合えないとすると、やはりストレスを毎日受け、悲観的になったり、イライラしたり
不安や怒りを度々感じやすくなるのは、よくあることです。
アメリカ心理学会会長となったペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・セリグマン氏の長年の追跡研究によると、
人が楽観的になれるかどうかは、遺伝子や親の経済的・社会的状況以上に、
自分の母親の楽観度に左右されるとのことです。
もちろん母親に限らずなのですが、実際には大多数の人にとって
母親が最も身近で幼少時から一緒に過ごす時間が長いため、
母親の物事の受け止め方とそれに基づく発言や行動を、
子供も知らずしらずのうちに取り込み、コピーするからです。
これをセリグマン氏は「母親の説明スタイルをインストールする」
と定義づけています。
例えば同じ嫌な出来事が起きた時にも、それが
一時的で、「たまたま」起きたことであり、近い未来にまた良くなるし、
次の機会にはもっと上手くいくだろう、と受け止める人は
心理的ダメージが少なく、自尊心や希望も保たれるので、
次のチャレンジをする行動力も保てます。
確率論から考えても、たくさん行動すればするほど
その中から成功する体験も増えていくので、自信も自尊心も高まるし、
そうするとなおさら自分や自分の未来について楽観的になります。
楽観的になれればその分、意欲的になり、行動も増え、
他人への不安や緊張も減るのでコミュニケーション能力も上がります。
人生を良くしていくための良い情報や、自分を支えてくれる愛情やサポートも人からくるものなので、余計な対人緊張を減らして気さくに
他人と交流できる能力は、人生を良くしていくためにとても大切なのです。
出来事を前向きに意味づける(=楽観性が上がる説明スタイル)➡不安が減り、意欲が上がる➡行動力・コミュ力が上がる➡人生で成功する
ではどのようにしたら自分の楽観度を上げられるかですが、
一言でいうと
「物事がなぜ起きたか、今後どうなるかへの説明スタイル」
が決めます。
すなわち、同じ不運に見舞われても、それが
「たまたま起こった一時的なものであり、
今後自分は上手く乗り越えられるだろう」
と考えられる人は実際に仕事でも勉強でも、
人間関係でも健康面でもその通りになり、
「自分に才能がないからだ、ダメな人間だからだ」
というふうに
「生まれつきで変えようがなく、今後もずっと続く」
と考える人間はその通りの人生を歩むことになるのです。
特に日本人は
「おごり高ぶってはいけない、謙遜しない人間は人として恥ずかしいし、
周りの人に叩かれてしまう」
という文化の中で育ってきたため、自分を正当に愛し、評価し、
自分の努力を認めることをためらいますが、
これでは自尊心も楽観性もなかなか上がらず、不安が強いので
行動力も伴わないため、成功しづらくなってしまいます。
なので、上手くいったときには自分を認めて褒め、
たとえ上手くいかなかった時にも自分を批判するのではなく
「ではどうすれば、次回からもっと上手くできるようになるのか」
という視点から考えることが重要なのです。
例えばあなたが仕事で、大事な顧客先の会社でプレゼンしたのに
批判されてしまったとします。
そんな時に
「自分はダメな人間だ、無能だ」
「みんなが自分を無能だと判定した」
「こんな無能な自分には今後良い仕事も来ないし、出世も難しいだろう」
とこの出来事を受け止め、解釈してしまうと、
非常に落ち込み、意欲も低下し、不安も強まるので、
改善のための判断も行動もできなくなってしまいます。
その結果、悪い状態が長く続くことになります。
これとは逆に、その失敗を
「少し油断して、十分な準備時間を取らなかったからだ」
「今日は顧客の機嫌が悪かったのだ」
「時間を置かずに改善案を提示して再度交渉すれば、
きっと良い結果になるだろう」
と考えることができるようになると、悪かった点を反省し
次につなげられるので、実際に状況が良くなり、
相手との関係性も改善する確率が高くなるでしょう。
こうした受け止め方の違いと、それによる行動の違いが、
その後の本人の人生の成功度の違いにつながっていきます。
こうした因果関係は、個人間のやりとりにとどまりません。
例えばアメリカ大統領選でどの候補者が当選するかとか、
芸能人がどの程度大衆受けするかといった、
一対多数の人気度でも明確な差が出ましたし、
プロスポーツ選手が特定の試合で勝つか負けるかといったものでも、
その選手の能力や練習量以上に、本人がどのくらい楽観的で
「自分は必ず上手くいく!」と信じられるかに比例して、
実際に成功したのです。
このためセリグマン氏らは、研究中に行われた大統領選や
野球のメジャーリーグ、バスケットボールのNBAでも、
どの候補者や選手が成功するかを、
自分たちも驚くほどの高い確率で予測できてしまったそうです。
しかも興味深いことに
「能力以上に、楽観性が実際の成功という結果をもたらす」
というこの結論は、
個人のみならず、集団間でも同じように適用されたのです。
すなわち、例えばメジャーリーグで、現在Aチームの方が勝率が高く、
個々の選手の能力も高いとしても、
Bチームの方に楽観度の高い選手が多く所属している場合には、
Bチームの方が圧倒的に高い確率で勝ち抜いていったのです。
つまり複数メンバーによるチーム全体の楽観度が、
そのチームのもともとのスキルレベルよりも勝率に直結することが
繰り返し証明されたのです。
楽観度を後天的に上げるワーク
しかし、もしも親が「悲観的な説明スタイル」で生きてきた人で、
それを見て育ったあなたも悲観的だとわかったら、
どうしたら良いでしょう?
大丈夫です、そのことに気づいたおかげで、今後は
これから述べる方法で毎日少しずつ自分を楽観的になれるように
教育していけば良いのです。
ある種の「自己洗脳」ともいえますが、そもそも人生を生きていることで
毎日周りの人の言動に洗脳されて続けてきたわけですから、
気づいた時点から、もっと自分の人生に有利で、楽しくなるような
自己洗脳にシフトしていけば良いのです。
・・・・・・
まず、自分がどの程度楽観的か悲観的かを知りたい人は、
『オプティミストはなぜ成功するか』の中に
かなり詳しいチェックテストがありますので、それを実施してみましょう。
ちなみに私は、うつ病で休学や休職をした頃と比べてかなり楽観的になり
日々、少ない不安で生きていけるようになっていますが、
それでも今回改めてこのチェックテストをしてみたら、
まだ「やや悲観的」のカテゴリーに入っていたので、意外でした。
でもそれは逆にいうと、点数面では悲観度がまだ高いとしても、
この後述べるような考え方の自己訓練を毎日続けることによって、
本来悲観的な気質や生育環境で生きてきた人でも、困らない程度に、
更にはもっと楽しく、自信と充実感を感じながらの人生を
生きられるということなので、安心してください。
そして自分の楽観度/悲観度をチェックしたら、今度は
同じくセリグマン氏の著書『ポジティブ心理学の挑戦』を読むと、
楽観度を上げるためのいくつかのワークが紹介されていますし、
そのワークに取り組んで性格が明るくなり、
人生が楽しくなっていった人たちの事例も紹介されています。
ここではその本の中から、特にすぐに取りかかれるワークを
いくつかお伝えしますね。
その1)良いこと日記、感謝日記を書く
夜帰宅する頃から寝る前までのどこかで「良いこと日記」を書きましょう。
帰宅が遅くて、その後は書く気になれそうもないという人は、帰りの電車の中でスマホのメモ欄にかんたんに記録するだけでもOKです。
毎日3つ以上の「良いこと」あるいは「感謝できること」を書きましょう。
楽観度が低い人はうつや不安になりやすいのですが、その人達の特性として「毎日の中で起きた悪いこと」は事細かに覚えているし
詳細に描写できるのですが、
「良いこと」になると急に思いつけなくなったり、ごく簡単な説明だけで、
詳しくは描写できない、というのがあります。
あるいは、せっかく起こった良いことや、既に恵まれている点についても
「このくらい、当たり前だ」と感じて、そのありがたみを自覚しません。
以前の私のブログ記事「感謝頻度」が高い人ほど、「幸運度」も高いわけ
でも詳しく述べていますが、
毎日の中でささやかなことにもその良さを認め、感謝できる人ほど
気持ちが安定し、自尊心も上がるので、結果として行動力や
対人関係力も良くなり、そのおかげで人生全般がよくなりやすいのです。
その2)良いことが起きた理由を書く
「良いこと/感謝日記」はこれまでも他の心理カウンセラーや
精神科医などが勧めてきた手法ですが、
今回セリグマン氏の著書『ポジティブ心理学の挑戦』で、初めて
「良いことが起きた理由を書こう」というのが出てきています。
ここを記録し、時々読み返して忘れないようにしておくことで、
今後さらに同様に良いことを度々意図的に起こせるようになるので、
これは確かに、とても役立つポイントですね。
例えば仕事上のプレゼンで、これまでよりも上手く行ったとしたら
その理由として
・十分な準備期間を確保した
という以外に、今回は
・普段は自分一人で1~2回、プレゼン資料をざっと読み返しただけ
だったのを、今回はほとんど暗記するくらいに、
具体的には10回も一人でリハーサルした上に、
前日には同僚たちに頼んで正式な時間設定で本番さながらに
リハーサル形式で発表させてもらった、
という理由があったかもしれません。
あるいは別の例として、いつもは心配性で、床に就いた後も
翌日のことをあれこれ考えてしまうのがくせになっていたが、
今回は上手く寝付けた。
その理由は、最近知った、マインドフルネス瞑想を練習して、
ゆっくり腹式呼吸して、しかもそこにできるだけ集中するように
自分をもっていけたから、とわかるかもしれません。
そうしたことを、詳しく記録しておくのです。
これを続けると
・「自分が上手くいった体験リスト」が増えるので、
それを読み返すことで自信につながりますし、
・「上手くいくための、自分専用の対処法」もまとめられているため、
何か困った時、不安で頭が混乱している時にも、
落ち着きを取り戻しやすくなります。
その3)マインドフルネス瞑想 をする
最近は瞑想、特にマインドフルネス瞑想が世間一般でも知られ、
偏見なく試してみる人も、一昔前と比べて、ずいぶん増えてきました。
ほんの10数年前までは、「瞑想」という用語を聞いただけで、
あるいは照明を薄暗くしてBGMを流し、ゆっくり呼吸をしましょう
といった説明を聞いただけで「宗教っぽくて嫌だ」と拒否的になる人も
多かったことを考えると、とても喜ばしいことです。
本当は、宗教とは無関係なのに。
むしろ、心身共に健康度を上げ、人生全般を良くしていくという
極めて実用的な効果が高い手法なので、
食わず嫌いするのは本当にもったいないからです。
こうしたワークをすることは、
毎日筋トレやジョギングをするのと同じです。
そもそも運動習慣がなかった人が筋トレしたりジョギングしようとすると、
特に最初のうちはわずかな負荷や回数でバテてしまい、
「とても続けられないのでは?」
と感じて自信をなくすかもしれませんが、
無理ない程度の負荷で良いので数週間、数ヶ月と続けるうちに
気がつくと、以前はきついなとか不自然だと感じていたことが
普通どころか、楽にできるようになり
「調子が良くなってきたし余裕もできてきたら、もっとやってみよう」
と思えるようになります。
そうして、ますます楽観的になり、ストレスにも強くなっていくのです。
このマインドフルネス瞑想は、1日20分程度を2~3週間続けると
効果を実感しやすくなりますが、20分は長いから続けられそうもないと
感じる方は、最初は3ないし5分からでも良いので、とにかく毎日
特定のタイミングを決めて、実行する、
つまり習慣化するようにしましょう。
たとえば起床直後とかベッドに入った直後、あるいは
お風呂で浴槽に浸かっている時など、自分の生活の中で
特定の行動と紐付けて必ず行なう、と決めると習慣化できます。
ぜひあなたも、このようにして「心の生活習慣」を改善して、
ご自分を楽観的にし、より楽しい人生を歩んでいきましょう。
。。。。。。
<参考記事>
「感謝頻度」が高い人ほど、「幸運度」も高いわけ」
<参考図書>
『オプティミストはなぜ成功するか』
『ポジティブ心理学の挑戦』
『なまけ者の3分間瞑想法』
↑まだ「マインドフルネス」という用語すらほぼ知られていなかった頃に出た本で、本文中では「こころのフィットネス」と説明していますが、毎日取り入れやすいワークをとてもわかりやすく説明されてます。
文体も暖かく、入門者向け。
『うつのためのマインドフルネス実践』
↑いつも不安、悲観的だ…という人ががっつり取り組んで自分の内面を変えたい人向け。誘導音声のCDつきなのもお勧めポイント。
<参考動画>
不安な気持ちを消す「反論思考」・・・これであなたも楽観人間になれる!
【最先端】これなら続く!マインドフルネス瞑想の始め方。
瞑想の効果とは【精神科医・樺沢紫苑】
ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。
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※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。
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