「決めつけ(価値判断)」はあなたも他人も苦しめる

スポンサーリンク


「決めつけ(価値判断)」はあなたも他人も苦しめる

前回の記事「自傷行為でストレス対処するパターンから抜け出るために」で、過食嘔吐やリストカットなどの自傷行為でストレスを紛らわして対処するというパターンは、中長期的には人生をダメにしていくので
もっと生産的な別の対処法を学ぶ必要がある、
ということについてご説明しました。

その中で、対人ストレスを減らすために有効な
「アサーティブ・コミュニケーション」という手法があるけれども、
前回は時間の関係でお伝えできませんでしたので、
今回はその辺りを中心にご説明したいと思います。

人が受けるストレスの大半は対人関係からくるものなので、
そこに有効に対処する方法がわかれば、人生がぐんと楽しくなりますよ。

弁証法的行動療法(DBT)の3つ 目のスキル「アサーション」と、
その前提として「決めつけない」重要さ

前回の動画の中で、弁証法的行動療法、略してDBTの3つのスキルについて
ご説明しました。
今回は3つ目のスキルである「アサーション」あるいは
「アサーティブ・コミュニケーション」についてお伝えしますが、
その前提として、「価値判断」つまり「決めつけ」があると
毎日が非常に苦しいことになってしまいますので、
価値判断とは何か、そしてどう取り扱えば良いのかをまずご説明しますね。

なぜならば、動画下の概要欄にも書いておきましたが、
DBTの3つのスキルである
(1)苦悩耐性スキル(2)マインドフルネス(3)アサーション
を習得しようとする際に、価値判断、つまり決めつけがあると
どれも上手くいかないからです。

価値判断(決めつけ)の例

「価値判断」つまり「決めつけ」としては、例えば以下のようなものです。

・レストランに入ったら近くの席の子が大声で泣いていたが、
親はほとんど注意しない、という場合に
「うるさいなあ!公共場所で騒いでいるのに叱らないなんて、
しつけがなっていない。親として失格だ」
と考える。

・出勤のために家を出たら大雨でかなり濡れてしまった。
その上、電車が人身事故で止まってしまい、数十分も満員電車に
閉じ込められてしまった、という場合に
「なんてついてないんだ!腹が立つ!」とか
「こんなすし詰め電車で長時間閉じ込められて、
気分悪くなって倒れたらどうしよう。
あと、密集のせいでコロナに感染したらどうしよう?!」
と考える。

こうした決めつけが有害なのは、そう思うことで状況は全く良くならず、
ただあなたにストレスを増やし、精神状態を悪化させるだけだからです。

ではどうすれば決めつけから脱することができるかというと
2つのスキルがあり、1つめは「反論」です。

「反論」は「認知行動療法」でもよく使われる手法ですが、
慣れないうちは独学ではなかなか思いつけないものなので、
今回は2つ目のスキルである「マインドフルネス」を使った、
初心者でも取り入れやすい方法についてお伝えしましょう。

「マインドフルネス」活用法

まず、決めつけによってあなたの中に生じた怒りなどの感情を
直視するようにします。
といってももちろん、実際に目に見えるわけではないので、
それが身体のどこにどんなふうに感じられるかに意識を集中してみます。

例えばみぞおちの苦しさとか、胸の締めつけ感、肩の緊張として
感じる人もいますし、
動悸として自覚する人もいます。

例えば胸の締めつけ感ならば、

・胸のどの辺りにありますか?
 全体か、それとも例えばやや左側の下の方とかでしょうか?
・胸の表面にありますか、それとも結構深い奥にありますか?
・その感情に色があるとしたら、どんな色でしょう?大きさは?
・その感情には、他にどんな特徴があるでしょうか?
 例えば岩のように重く硬いとか、ゴツゴツしているとか、
 あるいはトゲトゲしているとか、
 または軟体動物のようにぬるぬるとして気持ち悪いとか。
・何か、動きはあるでしょうか?

自由にイメージしてみてください。
そして深呼吸を繰り返して、その感覚にできるだけ意識を向けるように
しながら、怒りが過ぎ去っていくのを見届けてください。

前回の動画の中でもお伝えしたように、どんなにネガティブで強烈な
感情でも、数十秒から数十分後には、自然消滅していきます。
なぜならば感情も自然現象の一部であり、この世の中で全ては
生まれ、強まり、やがて衰え、消えていくものだからです。

慣れないうちは数秒もするとまた「だけどそれにしても腹が立つ!
だって、公共場所で騒ぐなんて・・・」
などと価値判断の思考が湧いてくるでしょうが、それもまた同じように
「どこにどんな色や形や感触や動きで存在しているか」
という観点で観察するようにし、ただ見守ります。
これを、ある程度感情が静まるまで続けましょう。

よりスムーズに感情が静まるようにする工夫として、例えば以下のような
イメージを取り入れるのも良いでしょう。

・ネガティブな感情を、青空に流れてきた灰色の雲とイメージする。
雲のせいで日差しが遮られて暗くなるが、しばらく待っていれば
そのまままた雲は流れていき、視界から去って行ったので、
再び青空が現れた。

・嫌な感情がゴミの塊のようになって小川を流れて来た。
でもそのまま見守っていると、下流に流れ去っていった。

・黒板にチョークでネガティブ思考が書いてあるが、
 黒板消しでそれをさーっと拭き取って消していく。

こうした、心の内面へのワークは少し集中力が要るので
慣れないうちは気づくといつのまにかネガティブ思考に
戻ってしまっていることも多いので
進歩が感じづらいかもしれませんが、
スポーツや語学学習と全く同じで、毎日の自主練で
誰でも確実に上達していきます。

特に最初のうちは、ネガティブな決めつけが湧き上がったらすぐに
スマホのメモなどでも良いので、
何らかの形で文字として記録してください。

こうすることで、たとえネガティブ感情が湧いた瞬間が
急いで歩いている途中だとか、会議中で発言しなくてはいけないとかで
ゆっくり感情を見つめていられないという場合でも、
後で見返してその感情を題材に練習できるからです。

メンタル不調になりやすい人ほど、日に何十回も
決めつけからくるストレスを感じているのに記録しないので、
そのほとんどを忘れてしまい、自分の改善のために活用できていません。
実にもったいないことです。

なので、嫌な感情が湧いたら自己改善のチャンスと捉えるようにして、
まずはその場で簡単で良いので記録するようにしましょう。

アサーションについて

それでは本日の本題である、アサーションについて入っていきますね。

「アサーション」または「アサーティブ・コミュニケーション」とは
自分の意見や要望を、相手に不快な思いをさせずに
上手に伝えるスキルのことです。
これにより相手があなたの話に耳を傾け、結果として
あなたの希望を受け入れる可能性が上がります。

対人ストレスを抱える人の多くは、少しでも対立を起こさぬようにと
過剰に自分だけ我慢してしまい、本音や希望を抑え込み続けます。
そして何ヶ月、時には何年も経っていよいよ我慢できなくなると
いきなり怒りの感情を爆発させてしまい、周囲を驚かせます。

本人としては
「長い間こんなに我慢してきたのに、わかってくれなかった、
だから爆発して表現せざるを得なかった」
と感じるのですが、周囲からすれば
「そんなにわかってほしいことがあったなら、もっと前に言ってよ!
言われなきゃ、わからないでしょ!」
と反論することになります。

前回の動画でもお伝えしたように、対人ストレスを抱え込む人は
しばしば、特定の偏ったコミュニケーションパターンを身に着けています。
そうした良くないコミュニケーションパターンを、以下にお伝えする
より望ましい、ニュートラルで、あなたにも相手にも
メリットの大きいパターンにスキルアップしていく必要があるのです。

より望ましいコミュニケーションパターンの代表をいくつか、
ご説明しましょう。

(1) I message

I, つまり「私」を主語とした表現です。

例えば夫がいつも残業なり、上司たちとの飲み会で連日帰宅が遅く、
妻であるあなたが寂しくてしょうがない、という場合。
「いつもあなたは遅くて、私を大事にしてくれないのね!」
という言い方では相手はムッとして、反論するだけでしょう。

しかしここで
「毎晩のように1人で話し相手もなく夕食を食べていると、
私はとても寂しくなる」
と、落ち着いた声で伝えることで、夫も
「そうだね・・・。僕も仕事の付き合い上、なかなか断れなくて。
でも来週からは、まっすぐ帰宅する日を増やすようにするよ」
などと言いやすくなるでしょう。

(2)簡単な依頼をする。

いきなり重要な人に重要なことを頼んだり、交渉するのは荷が重い、
という人は、より頼みやすい状況で簡単なお願いをしましょう。

例えばレストランで窓辺の席に案内されたが、日差しがきつい時に
店員さんに
「日差しがとても眩しいので、ブラインドを少し下げてもらえますか?
ありがとうございます」
とか、

電車で隣の席の人に
「少しきついので、カバンを膝の上とかに移動してもらえますか?
助かります」

といったふうに、
「理由→要望内容→お礼」
という順番で伝えると、相手も聞き入れやすいでしょう。

(3)依頼するのは具体的な内容で、1つだけで、すぐできるものにする。

例えば小学生の子供のいる家庭で、妻が「もっと家族旅行に行きたい」
と感じるが、夫が日曜日は疲れて、家庭サービスどころじゃないよ、
という場合。

今が秋口だとしたら
「あなた!来年の夏休みこそは必ず旅行に連れていってよ!」
では、実現可能性が低いでしょう。

それよりも
「今の仕事のピークが終わって一段落するのはいつ?
じゃあその月の●日からの土日に、▲温泉に一泊旅行にいくのはどうかなあ?
ここの宿、10月一杯までは20%引きキャンペーン中だって」
などと伝え、同意が得られれば予約までいけるかもしれません。

(4)アサーティブな延期

自分を抑えすぎて自己主張できず、便利に使われてしまう人は
「NO」と断ることに罪悪感を感じたり、断った後に相手と
ギクシャクするのではと恐れすぎて、正当な自己主張が
できなくなっている状態です。

なので自分にも、他人の依頼を断る権利と自由がある、ということを
納得できるようになることが重要なのですが、
最初から全面的に断るのが怖いとか、
断り方がわからないという人も多いです。

そういう場合には、その場で引き受けずに、いったん延期することで
ワンクッション置いて考えられるようにもっていきましょう。

例えば
「1時間ください。これは重要なことなので、何か言う前に
じっくり検討したいのです」
とか、
「持ち帰って妻とよく話し合いたいので、一晩考えさせてください」
などです。

(5)アサーティブな妥協案のバリエーションを
   できるだけたくさん用意する

例えば:
・国内だが遠方の旅行に行く時に、A夫さんは電車で行きたがったが
B子さんは飛行機で行きたいという場合、
行きは電車で、帰りは飛行機とする、などです。

・パーティーでデコレーションケーキを切る際、
どう切るかはC子さんの裁量で、他の参加者たちは、好きな順に
切ったケーキから選べる。

・家庭でお風呂に入る順番を決める場合、風呂掃除をして
 お湯を張った人が一番風呂に入れる。

(6)台本づくりとリハーサルをする

何でもそうですが、新しいスキルや習慣を身につけるには、
記録と練習が必須です。

特に、不慣れな自己主張をいきなりその場で行なうのは
難易度が高過ぎるので、予め台本を書き、1人で何度も何度も
リハーサルしてから本番に臨む必要があります。

自分が相手の要求を、本心に反して受け入れさせられるのは
どんな場合か、相手は誰で、ありがちな流れはどうか、
といったことを書き出して明確化します。

これまでよく起きたことは今後も高い確率で起こるので、
もっと望ましい結果に進ませるには自分がどういえば良いのか、
具体的にはどのタイミングで、どの言葉を選んで、
どの順番で話を進めていけば最も効果的かを、
最初は紙になぐり書きのように、思いつくままに書き出しましょう。

そしてある程度シナリオが決まったらスマホメモなどにして、
それを実際に声に出して読み上げながらイメージトレーニングします。
予想される相手の反論や不機嫌な表情なども検討要素に入れ、
「ああいわれたら、こう答えよう」
と想定問答集も用意しておきます。

何回もリハーサルしてある程度覚えるくらいになったら、
毎日朝と夕方には読み返すなどして忘れないようにしつつ、
実際に活用すべき場面がくるのを待ちます。

実際に相手とやりとりしたら、その結果がどうだったか、
上手くいったか、もしも上手くいかなかった部分がある場合は
どこが自分の予想と違ったのか、それならば次回はどう改善したら
より良い結果を得られそうなのか、と継続的にモニターしていきましょう。

コミュニケーションスキルもスポーツや楽器や語学を学ぶのと同じで、
初心者はとにかく、基礎から毎日自主練、その繰り返しあるのみです。
練習の成果は、かならず実感できるようになりますので、
焦らずじっくり、取り組みましょう。

・・・・・・

<関連動画>
過食嘔吐、リストカット・・・自傷行為でストレス対処するパターンから抜け出るために https://youtu.be/_aKaRLuXoig

<参考図書>
『弁証法的行動療法 実践トレーニングブック――自分の感情とよりうまくつきあってゆくために』https://amzn.to/3ehesxF 

スポンサーリンク



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUTこの記事をかいた人

ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。 ーーーーー ※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。