ただ対人刺激を避けていては社会復帰できない理由と対策

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ただ対人刺激を避けているだけではうつも不安も無気力も治らない【その理由としくみを説明】

うつ病や不安障害、あるいはそこまでの診断を受けたことがなくても
数ヶ月以上会社や学校を連続して休んでいる場合、
ただ何となく休み続けても回復せず、あるいは回復したと思っても
復職や復学が近づくと途端に再発し、長期化する人が増えています。

この記事を読むことであなたは、なぜ長期引きこもりが増えがちなのか、
そこを抜け出して社会参加し、自分の居場所を確保し、
自尊心を回復するにはどうすれば良いか、わかるようになります。

「長期引きこもり」主役は統合失調症からそれ以外の人たちに

今から30年ほど前までは、長期引きこもりといえば、統合失調症の患者さんがその病気の症状のせいで幻聴や被害妄想がひどく、(またこれも症状なのですが)考えがまとまらず、判断力もないために仕事はもちろん、
日常生活さえ支障をきたす、というのが主なパターンでした。

精神病症状が強いので、幻聴や妄想を減らすタイプの薬を長期間にわたり
飲み続けなければならず、同居家族がいる間はまだしも、
家族がいないと暮らせないので精神科病院に10年単位で
住むように入院している患者さんも多かったのです。

しかし最近では昔のものよりは副作用が少なくて外来治療のみで
ある程度落ち着ける人が増えてきたため、昔と比べると「軽症」で
通院治療がベースとなっています。

しかし一方で、ここ20年ほどは統合失調症以外の疾患、つまり
うつ病や各種の不安障害、あるいはそこまではいかないが学校や会社に
ある日から行けなくなりそのまま年単位で自宅に引きこもっている、
という人口が増えています。

しかも、当初はそうした人たちは20歳前後でしたが、時間経過と共に当然年も取るので、当初の不登校児たちは現在は30代、40代になっています。
このままでは今後もますます高齢化していくでしょう。

休み始めの時期に、
復帰の基準をイメージしておく

ではなぜ引きこもりが長期化してしまうかというと
「ストレス源から離れて、しばらく休もう」
というのが、ずるずると長びいてしまったからです。

うつ病や不安障害にによる休職にしろ、クラスメイトたちとの人間関係や
漠然とした緊張から不登校になり始めたにしろ、
目標や目安を設定せずにただ休んでも、
復職や復学はなかなか上手くいかないことの方が多いです。

特に明確なうつ病の場合は、(標準的な治療を受けた場合は)
抗うつ薬をのみながら、仕事の負荷をなくし、家でゆっくり休息する
というのが、正しい治療計画となります。

うつ病でなくても、ブラック企業などで長期間の過重労働による
消耗性の症状ならば、やはり一定期間、具体的には数週間程度、
しっかり休息するのは必要です。

・・・

しかしこのような状態の人でも長くても1ヶ月程度、
それ以外の人なら半月も休んだら、いつどのような形で
職場なり学校なりに戻るのか、そのためにはどうすれば良いのかを
具体的に考え、計画を立て、
その計画に基づいて行動しなくてはなりません。

そうしないと、気づけば3ヶ月、半年、1年・・・と時間ばかり経過し、
しかし思ったほど不安や落ち込みが減らず、気力も回復せず、その結果
「今後自分は治るんだろうか」などと新たな不安も強まってしまい、
復帰にますます支障が出てしまうからです。

なので、休職や休学に至った、最も症状が強く辛い時期から
一段マシになったら、早く計画を立て始めることが重要です。

・・・

学生なら、休学はたいてい、数ヶ月の「学期」単位でしょうから
その期限が近づいてきたら、主治医にただ延長の
診断書を書いてもらうのではなく、予め

「何月何日頃が期限だから、それまでに
こういう状態になっておく必要がある」
と、イメージできていなくてはなりません。

そのイメージに向かって行動し続けてきて、それでも予想よりも
ペースが遅れているならば、もう数ヶ月の休学延長は
止むをえないでしょうが、

「まだ不安だから、だるいから、学校のことを考えると緊張するから」
という理由で延期すると次もその次の機会も伸びてしまい、
結局出席日数や単位不足で退学、ということになりかねません。

・・・

また会社勤めの人ならば、雇用形態にもよりますが、
典型的なのは正社員ならば最初の3ヶ月は病休、
その後の半年ないし2年間は休職、という身分になることでしょう。

この場合も、単純に長時間労働だけが不調の原因だったら
復職前に人事や総務、産業医などと何度も相談して、
再びダウンしないような程度の業務負荷にしてもらえるように
交渉する必要があります。

また、業務量はそれなりだが上司や同僚などとの人間関係が
休職の主な原因だったならば、その人と関わらないような
部署に戻してもらえるかの相談が必要でしょう。

しかし復職時に最初から全然違う人間のいる環境に
移してもらえない場合の方が多いので、そうなると
「嫌な人間からのストレスを前よりも上手く受け流す心のスキル」を
あなた自身が休職中に学び、何度も練習して習得しておく必要があります。

さまざまなストレスコントロール法を知り、身につける

自分の落ち込みや不安を上手に受け止め、受け流すためには、
いくつかの方法があります。

まず1つは、「認知療法」ないし「認知行動療法」、あるいは
「対人関係療法」で、ストレスに取り組むための基礎知識を学び、
理解することです。

認知療法のコンセプトは
「人が受けるストレスの度合いは、出来事そのものよりも、
その出来事を本人がどう受け止めるかによって決まる」
というものです。

なので、起こった出来事に対する受け止め方つまり解釈の仕方を
自分にとってより負担の少ない考え方に変えていくことで
感じるストレスの度合いを減らす、という練習が必要になります。

対人関係療法は、うつや不安になる4つの主な原因があるので
そこを把握し、他人に自分の気持や意見をきちんと主張する方法を
カウンセラーと共に把握し、練習していくものです。

対人関係療法については、ここで説明すると長くなってしまうので、
今回は割愛します。
ご関心がある方は、動画下の概要欄に関連情報へのリンクを
張っておきますので、ご参照いただければと思います。

更に3つ、自分だけでもできる方法があるのですが
その1つが「マインドフルネス瞑想」、2つ目が分子整合栄養療法
そして残る1つが運動療法です。

マインドフルネス瞑想を毎日行うことと、
外出や運動を週の半分以上行なうことで、
ネガティブ思考を無駄に堂々巡りで考え続けるのを
止めたり、リラックスしやすくなったり、
適度に集中しやすくなったりできます。
その上、意欲が回復し、気分も楽観的になります。

栄養療法でも、食事を意識的に変えていくことからでも
疲れにくくなり、睡眠が深くなり、
不安や落ち込みや悲観的気分が軽減できます。

これらの方法についても、動画概要欄に、
書籍や関連動画へのリンクを載せておきますね。

休職中からできる対人ストレス対処法とは

で、これらの知識を学ぶことにより、ある程度希望が見えてきたり
気が楽になってきますが、スキルである以上、
知識として教科書で知るだけでは不十分で、実践で使って練習し、
自分のものとして確実に身につけていく必要があります。

しかし目下自宅で休んでいて、家族以外との接触が
ほとんどない環境では、なかなか訓練できないですよね。

そこで役立つ手段が2つあります。
1つは個人での心理カウンセリングであり、
もう1つが「復職のためのリワークプログラム」と呼ばれているものです。

対人ストレスが強い人は自分の感情や意見を上手に相手に表現したり
主張したりすることが苦手で、ひたすら自分を抑えてがまんする、
というパターンになりがちです。

これでは自分にばかり負荷がたまり、
メンタル不調になるのも無理ないことです。

このクセを意識的に訓練して直していかないと、
刺激をさけていったんうつや不安が減ったように見えても、
復職したとたんに再発しかねません。

心理カウンセリングを受けることで、まずは専門家であるカウンセラーを
相手に、自分の気持や意見を言葉にして相手に伝える、
という練習をしていきます。

休職中は対人接触は限られていますが、それでも家族や友人相手に、
これまでとは違う言い方や表現法で伝えてみる練習はできるでしょう。

また、例えばコンビニの店員さんにちょっとしたやりとりをする際にも、
自分の言い方や表情を意識することで、これまでとは違う関係性を
感じられるようになることも珍しくありません。

心理カウンセラーはネット検索しても良いですし、メンタルクリニックなど医療機関内で行なっている所を探しても良いでしょう。

「リワークプログラム」で復職後の生活のリハーサルをする

個人カウンセリングである程度慣れてきたら、復職のための
リワークプログラムを提供している所をネット検索してみましょう。
地域の保健所に電話しても、最寄りでそうしたプログラムを
提供している所を教えてもらえるでしょう。

リワークプログラムの良いところは、
・グループ活動なので、親しくない人たちの中で定期的に数時間過ごす、
ということに慣れる場所になること

そして
・段階を踏みつつ、最終的には平日5日間、朝から夕方までそこで
過ごすことになるため、出勤時に準じた起床と就寝のリズムを
保ちやすいこと、
朝、通勤時間帯の電車に乗ったり、会社員たちの人の流れに入ることで
「復職した自分」のイメージを予め持ちやすいこと、

そして
・土日以外を終日、自宅から離れて過ごしてどのくらい体力気力が保てるかをリアルに確認できること
といった点にあります。

私が外来で見てきた会社員の中にも、自宅療養とカウンセリングである程度回復したものの、対人ストレスに極端に弱い人たちもおられましたが、
そうした方々も、気長に段階を踏んでリワークプログラムに半年、1年と
参加し続けるうちに体力面でも気力面でもずいぶん強くなり、
無事復職を果たし、しかも復職後も安定的に勤務を続けられています。

なお、一例として、東京都心部でおすすめのメンタルクリニックで
臨床心理士によるカウンセリングを受けられる所や、
リワークプログラムに力を入れているクリニックについて解説した
ブログ記事も貼っておきますので、
関心のある方はそちらもアクセスしてみてくださいね。

なお、自分一人だけでもメンタル安定化をできる方法の
3つ目としてマインドフルネス瞑想、4つ目として分子整合栄養療法があり、
私自身も長年これらを併用して心身がずいぶんと楽になってきました。

ただしこれらについてもここで述べると長くなってしまうので、
該当するリンクを動画下の概要欄に貼っておきますね。

 

栄養療法で統合失調症が改善しても
残っていた課題とは

さて、ここからはちょっと内容が変わって、
「統合失調症に対して分子整合栄養療法が劇的に効いたが、
社会経験がなかったために社会復帰が困難になった事例」
についてお伝えします。
現在統合失調症の方や、そのご家族の方には、参考になる話だと思います。

なぜこういう話をするかというと、
従来の精神医学では、統合失調症といえば抗精神病薬
――2020年現在ではよく使われるものの商品名としては
「リスパダール」「エビリファイ」「ジプレキサ」などですが――
を、幻聴や被害妄想がある程度減るまで呑み、
再発を防ぐために一生使い続ける、というものでした。

幻聴や被害妄想がとても活発な時期には、本人が非常に怯えて
興奮しているため、数週間から数ヶ月以上、精神科病院に入院し、
さらに大量の抗精神病薬を使わざるを得ないこともしばしばでした。

しかしこうした強い精神症状も、分子整合栄養療法の専門医療機関で
治療を受けることで、大半の方がかなり症状が緩和されるのです。

なお、これから述べる事例は、かつて私が「新宿溝口クリニック」で
精神科疾患患者さんに対して栄養療法を正式に担当していた時代の
方(かた)であり、
現在は外来診療でそうした患者さんを受け持つ場は担当していません。

このため、個別相談をされてもお答えすることはできませんので、
その点はご留意いただければと思います。

栄養療法で幻覚妄想はなくなった。だが・・・

これからお話する事例の方は、私の外来初診時に40歳代半ばで、
20歳頃に統合失調症を初発した方です。

薬物療法で幻聴や妄想はある程度沈静化したものの、薬の副作用で
いつもだるく、頭も回らず、これでは社会参加もしにくいということで、
分子整合栄養療法を受けに来られました。

食生活の改善と、医療用サプリをガッツリ使ったおかげで
精神科薬はほとんど不要となり、
おかげでだるさやぼんやりがなくなりました。

そしてしっかり栄養素を入れたおかげで、
薬をほとんどなくしても統合失調症症状は再発しませんでした。

ところがそこに来て、思わぬ障害があることに
本人や家族が直面することとなったのです。

精神症状が改善しても、対人ストレスは対人関係の中での訓練経験でしか乗り越えられない

統合失調症は一般に、10代から20代の若者に初発します。

従来の精神科治療では、いったん発病したら本当の意味では治らず、
維持量の薬を続けながら、作業所などでの作業をして
お小遣い程度のお金をもらったり、他の統合失調症患者さんたちと
定期的に会って最低限の対人交流を保つための
「デイケア」プログラムに参加しながら、
障害年金や生活保護を受給しつつひっそりと生活していく、
というものでした。

つまり「統合失調症は発病したら治らないのが前提なので、
国から保護を受けつつ寿命を全うしましょう」
という考え方です。

しかし分子整合栄養療法がとてもよく効いた人の場合、
発病前と同等の体力や気力が戻ります。
ただ・・・ここで1点、落とし穴があるのです。

先ほど述べたように、統合失調症の多くは10代から20代という、
中学生から大学生時代に初発しやすいです。

この年代というのは、本来、学校という集団生活に強制的に参加することで、友人関係や教師との関係などで、思い悩んだり和解したりしながら、
試行錯誤の中で対人関係スキルを身につけていく時期です。

しかし幻聴や被害妄想といった独特の辛い精神症状のため
人間関係を切り、集団生活から何年にもわたって離れていると、
人間関係をどう始め、どう続けていけばいいのか、

トラブルが起こった時にどう対処すれば良いのかといった経験を
全く積まずに成人し、そのまま家族としか接しないまま
30代、40代あるいはそれ以上の年齢にまでなってしまいます。

こうなると、たとえ病的な精神症状がなくなっても、今度は
一般的な対人不安、緊張、自信のなさが強まってしまい、
学校や会社という、親しくない人たちの集団に入っていくということが、
とてつもなく高いハードルに感じられてしまうのです。

年齢相応の社会経験、対人関係づくりの経験を
全くといって良いほど、してこなかったからです。

このため、幻聴や妄想といった独自の精神症状とは別に、
対人不安を克服するためのプログラムに年単位で参加し、
他人に慣れていく、という訓練が必要になるのですが、

そこがわからず、せっかく精神症状が改善したのに
「人と接するのがこわくて」と、そのまま更に一生、
自宅に引きこもり続けてしまう人も少なくありません。

特に現在ではまだ、分子整合栄養療法を知っている人も
そもそも少ないので、この治療法により従来の精神症状が治った後の
社会適応についてまで考えたことのある患者さんやその家族、
あるいは精神科医がほとんどいないのです。

しかし幸いに、「集団に定期的に参加して他人に慣れる」場としては従来型精神科医療の中でも、クリニックでの「デイケア」という形で
社会参加プログラムが一応用意されているので、手始めにまずそこに
平日は毎日参加できるように自分をもっていく
というのが適切なやり方といえるでしょう。

分子整合栄養療法そのものは健康保険が利かない自費診療になりますが、
薬物療法とは違う、本当の意味での改善が得やすいです。

従来の病的な精神症状が軽減してからは、社会復帰訓練として
デイケアなどのプログラム――こちらは通常の保険診療の範疇で
まかなえる場合がほとんどです――に参加して、
対人ストレスをコントロールする力を身につけるようにしましょう。

参考情報

みぞぐちクリニック 
↑オール自費です・・

新宿OP廣瀬クリニック 
↑基本は保険診療のメンタルクリニックですが、
希望者は自費でクリニック推奨のサプリを買うこともできます

【参考図書】
●分子整合栄養療法
『食事と栄養で心の病が治るワケとコツ: 何を食べるかで、あなたが決まる』

●運動療法
『脳を鍛えるには 運動しかない!』 https://amzn.to/38NTuoH 
『首・肩・腰スッキリ! 体調改善! 簡単ながらストレッチ』
https://amzn.to/2sAvXH8 

●マインドフルネス瞑想法
『うつのためのマインドフルネス実践~~慢性的な不幸感からの開放~~』(誘導CDつき)
https://amzn.to/2Swdjeu
『なまけ者の3分間瞑想法』https://amzn.to/3a0M4yb 

<関連ブログ記事>
「『つらいとき、すぐに』がコンセプトのメンタルクリニック」
https://heart-art.jp/yumental
「復職プログラムが充実したメンタルクリニック」
https://heart-art.jp/aiclinickanda

 

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ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。 ーーーーー ※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。