季節性うつ病に効く「高照度光療法」【今や個人で対策できる器具あり】

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秋冬にうつ状態が強まる

心療内科外来にいると、秋冬不調になる
という方が一定割合来られます。

今年も10月下旬頃からぽつぽつと、
それまでの生活と特に変わりないのに
「朝、起床しづらい」
「特に理由もなく悲しい、憂うつ、不安感が強まる」
「急にやる気がなくなった」

という状態になり、相談にこられるのです。
話をうかがうと、そういえば数年前から
秋冬になんとなく不調になり
春以降に楽になる、とのこと。

これは「季節性うつ病」と呼ばれるものです。

季節性うつ病もうつ病なので、やはり標準医療的には
まず抗うつ薬。

大学病院や一部のメンタルクリニックでは
この後述べる「高照度光療法」が行われることもありますが、
いずれにしろ医療機関を受診し続けなければなりません。

しかし幸いなことに、現在では(軽度なものならば)
自宅で、自分で改善できる可能性も高くなってきました。

季節性うつ病とは

自宅光療法の具体的な内容に入る前に、まずは
季節性うつ病とはどんな状態なのか、
かんたんにご説明します。

季節性うつ病とは
1984年に精神科医ローゼンタールらにより
「冬季うつ病」として初めて報告されました。

秋冬にうつ状態が強まり、春から症状軽減する
という周期性が特徴です。

好発年齢は20代前半、女性に多い。
北欧やカナダなど緯度の高い地方ほど有病率が高い。
(日本における調査でも、沖縄や九州では少なく、
東北や北海道では有病率が高い。)

有病率は1~10%

症状としては

・意欲、思考力低下
・だるい
・過眠
・昼間の眠気
・過食(特に甘味やほかの炭水化物)

といった症状が目立つ傾向があります。

季節性うつ病以外にも効く可能性あり

ただしこれまでの研究により、非季節性のうつ病にも
ある程度効果があります。

私自身も、栄養療法を始めるまでは
(秋冬に限らず)雨降りの暗い日には、
理由もなく気分が暗くなり、悲観的になることが
少なくありませんでした。

当時にも少数の個人向け光療法器が出始めていましたが、
結構作りがゴツいし、価格も最安でも3万円台でした。
それでも(天井灯をつけても)暗く感じる自室内で
光療法器をの明かりをつけると、そこはかとない
安心感を感じたことを、覚えています。

また、これまでの研究で、以下の状態も
改善しうることがわかってきました。

・うつ気分や不安の他に、過食や過眠も伴う人
・改善しようとどんなに努力しても遅寝遅起きになってしまい、
 社会的に活動が求められる時間に起きていられない人。
双極性障害Ⅱ型(躁状態が軽度で短期間で終わるタイプ)の
 うつ状態

なので、こうした状態の人も、セルフケアの1つとして
自宅光療法も検討されても良いのではと思います。

光療法の副作用

光療法の副作用は以下のものがこれまで報告されていますが、
どれも軽度、一時的であり、副作用のせいで
光療法が続けられなくなるほどのことは
ほとんどないと考えて良いです。

・頭痛
・眼精疲労
・倦怠感、イライラ感
・めまい
・吐き気
・不眠

もし出現したら数日間以上光療法を中断し、
再開時は前よりも短い照射時間にしましょう。

光療法を自宅で行なう方法

記事末尾でご紹介する光療法器などで行なうのですが、
効果を出すためにポイントがいくつかあります。

・十分な明るさ(2500~10000ルクス)で行なう。

・主に朝、30~120分行なう。
 時間の長さは、光からの距離が近いほど、
 短時間で効果が出やすい。

・光は目から入る必要があるが、凝視する必要はなく
 視界に光源が入っていれば良い。

具体的なやり方や注意点
BrightLight 使用法のページ
に詳しいので一読をお勧めします。

どこでも光療法――イヤホン型を活用

これまでの主要な研究では、効果を発揮するためには
網膜に光を当てる、つまり光が目から入る必要が
あるとされていますが、中には
目以外からも脳への光刺激がありうること、
その仮説に基づいてイヤホン型の発光器も開発され
有効だという説もあります。

怪しげに聞こえるかもしれませんが、実際に
フィンランドのオウル大学の研究者たちによる主張です。
以下の記事をご参照。
「冬季鬱病に効く」、発光するイヤホン

イヤホン型を使ってみた人の体験談のページも
ありましたので、ご参考に。
光療法おすすめグッズ1—耳から光を入れる光療法器具「Valkee2 」のレビュー

イヤホン型なら移動中もつけられるので、
通勤電車など毎日の生活に組み込みやすく、
光療法のためだけに時間を確保しなくても良いのでさらに便利ですね。

(記事末尾にご紹介したタブレット型は
目覚まし時計機能があるので起床しやすくなったり
朝食時にそばにおいておくなど工夫すれば、
外泊先を含めて、毎日使うことはできますが。)

。。。。。。

実際、フィンランド含め北欧などでは
日が全く昇らない真っ暗な時期(これを極夜[きょくや]といいますが)
が数ヶ月も続き、
季節性のうつ状態に苦しむ人も多いのです。

余談ですが、極夜の最中よりも、
陽が昇り始めて数週間後になぜか自殺率が高まるそう。

ちなみに通常のうつ病でも、
最も自殺衝動が高まりやすい時間帯として、
明け方というのがあります。

これは個人的な推測ですが、
暗闇の中でもんもんと過ごした後、朝になり
「また今日も苦しい一日に耐えなければならないのか。
 もう、いやだ」
と死を選びたくなるのでは、と思います。

季節性うつ病が、日の出が見られるようになってから
自殺率が高まるというのも、似たような
心理が働くのかもしれません。

その他の参照サイト

光療法についての網羅的情報が読みたい方には
こちらのサイトもお勧めです。

日本を元気にする光療法の総合サイト
冬季うつ、光はいつ浴びるかより「浴びた量」が大事 

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ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。 ーーーーー ※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。