朝散歩でメンタルが改善する5つの科学的理由

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朝散歩を勧める理由は、は、単なる気分転換や体力づくりのためではない

朝散歩は、単なる気分転換や体力づくりのためではありません。
それ以上に大きな、そしてメンタル不調から回復するためには
必須な、2つの大きな効果があります。

まず、朝日を浴びると脳が「新しい一日が始まった」と
体内時計がリセットされます。

そして日中必要な活動ができるよう、意欲を増し、
思考力・判断力を活性化し、
一方で不安を減らす脳内ホルモン
セロトニン」が分泌されます。

このおかげで日中、テキパキと物事を認知し、
不安が減るおかげで集中力も増し、おかげで
必要なことを実行できるようになります。

ちなみにこのセロトニンは、「SSRI」と呼ばれ
現在主として使われている抗うつ薬が
脳内に働きかけて活性化しようとしている
ホルモンです。

つまり日光に当たることで、自前の
いわば「抗うつホルモン」をたくさん分泌できるようになり
その結果、うつや不安から回復しやすくなるのです。

そして日光を浴びてから15~16時間後には
今度は「メラトニン」という、天然の睡眠薬のような
ホルモンが盛んに分泌されるようになります。

このように朝散歩には、気分を高め、意欲を上げ、
不安を減らし、睡眠を改善するという、
誰もが欲しがり、そして必須の効能があるのです。


ここまで読んで
「え、じゃあ日光浴だけでも良いのでは?」
と思う人もいるかもしれません。

確かに、一日中カーテンも開けないとか、
何週間も一歩も外に出ない、といった
極端に不自然な生活をしている人よりも
朝の日光浴を窓越しにしているだけでも
はるかにバイオリズムは整いやすくなります。

私が診療場面で助言する患者さんたちにも、
うつが重症すぎてトイレに立つのも大変、
といった時期には、次善の策として
最初はベランダに出るだけとか、それも困難な場合には
自宅の朝日が入る部屋の窓辺で20~30分間
過ごしましょう、とお伝えすることもあります。

しかし短時間でも毎日外に出る習慣をつけることは
とても大事なのです。
理由は以下のとおりです。

 

①外出するために身支度すること自体が、脳への刺激になる。

パジャマややスウェット上下のまま、
髪もボサボサ・・・ではさすがに
外を行きかう人々のなかで違和感があるでしょうから、
それなりの身づくろいをしようと思うでしょう。

そうしたわずかな緊張感、自分を客観的に
見る意識が、脳への適度な刺激になり、
ストレス耐性をアップさせてくれるのです。

もちろん、別にスーツを来たりバッチリお化粧するとかの必要はなく、
ラフなジーンズ姿などで十分です。

②外に出れば人や車にぶつからないように、それなりに気を張る必要がある。

このため、繰り返しネガティブなことを考える
 時間の長さや頻度が多少とも減り、
 そのおかげでストレス度が軽減されます。

③軽い歩行程度でも、屋内でゴロゴロしているよりは身体を使うので体力維持に役立ち、自信につながる。

普段はあまり意識していないでしょうが、
体力がある、スムーズに動けるというのは
人間の基本的な自信になっています。

あまりにも長く引きこもっていて
たまにちょっと歩いたり階段を昇ったりした際に
すぐへこたれると

「ああ、自分は体力が落ちた・・・気力もわかない・・・
きっと今後も良いことなんてない・・・」
などと、悲観的思考の入り口になりやすいのです。

逆に、軽い運動習慣を継続することで
体力や心肺能力がアップしたと自覚できると、
それが全般的に自信につながりやすくなります。

④外に出て身体を動かす、外の空気を吸うといった刺激で食欲が出やすくなり、朝食も美味しく食べられるようになる。

うつや不安状態にある人は
食欲が減って食事を抜きがちになったり
逆にストレス食いで糖質中心の食生活となり
うつや不安から回復しにくい体調になってしまいがちです。

朝のうちの適度な刺激は
適切な食欲を引き出し、
身体が健康になるのを助けてくれます。

さらに朝食を摂ると、
(日光による脳の目覚めだけでなく)胃腸レベルでも
「お、今新しい一日が始まったのだな」
と認識されるので
ますますバイオリズムがととのい、

「日中の程度な緊張と活動性」
「夜間のしかるべきリラックスと睡眠」
の両方のバランスがとれた状態になります。

⑤免疫力が上がり、感染症にもかかりにくくなる。


新型コロナウイルスを予防するために
2020年から外出規制が強められていますが、
あまりにも外出しないことは、かえって
免疫力を低下させてしまいます。

理由は以下の2つです。

外出自粛で免疫力が下がる理由その1:ビタミンDを作れなくなる。

人は日光に当たることによりビタミンDを体内で合成します。
食物でも一部は摂れますが、
必要量の大半は日光浴することで得られるのです。

ビタミンDには多彩で重要な働きがありますが、
その1つが、免疫力を高める(調整する)こと。

このため各種感染症にかかりにくくするだけでなく
花粉症をはじめとするアレルギー性疾患、
各種自己免疫性疾患の予防や改善にも有効です。

外出自粛で免疫力が下がる理由その2:ストレスホルモンを増やし、それによる副作用をきたす。

人はストレスを感じたときに「コルチゾール」という
ホルモンの分泌量が増えます。

コルチゾールはもともとは緊急時に
対処し生き延びるために必須のホルモンでした。
例えばその昔、人が大自然の中で狩猟採集生活を
していたときには、肉食動物と遭遇したら
「戦うか、逃げるか」の2択しかありません。

このときに、かなりの怪我を負っても
無我夢中で行動できるよう、
いわば「火事場の馬鹿力」を
与えてくれていたのが、コルチゾールです。

命がけで大変な時代でしたが、1回あたりの
ストレス継続時間は短く、いったん逃げおおせたら
もう思い悩む必要はないので
「緊急警報」は止まり、リラックスできたのです。

しかし現代はどうでしょう。
直ちに命にかかわるようなストレスは減った一方、
人間関係や経済的悩みなどで
何ヶ月も何年も「思い悩みストレス」
にさらされ続ける人が、大半ではないでしょうか。

そうなると、コルチゾールが常に多量に
血中を流れ続けることになります。

コルチゾールはステロイドホルモンなので
アトピーやリウマチなどでステロイド剤を
多量かつ長年にわたってのみ続けた場合と
同じ副作用を出します。

例えば、以下のものです。
・肥満
・免疫力低下
・うつ状態

なので、ストレスを貯めず適度に発散するためにも
外出は必要なのです。

コロナが怖い、「3密」を避けねばと思っても
単独で、屋外で散歩、早足歩きやジョギング、
ストレッチをしたからといって
何が問題でしょうか。

むしろ前述のようにメリットばかりなので、
ぜひ生活に取り入れてください。

朝散歩がどうしてもできない場合の次善プラン

ここまでご説明しても
「でも~、おっくうで動けないんです~」
と、なかなか朝散歩してくれない人も多いです。

その場合も、ゼロよりはどんなにわずかでも
前進していることが大事なので、
以下の段階を追って実践していくことをおすすめします。

室内で、朝日の入る部屋の窓際で座るか横たわり、
20~30分日光浴する。

ベランダで朝日が入るならベランダに出て
日光浴や深呼吸、ストレッチなどをする。

3分で自宅の周りを一周するだけでも良いから、
とにかく外に出てみる。
(それさえ難しければ、玄関から1分間歩けるところまで
行き、すぐに引き返す、というレベルから始めても可。)

次第に時間を伸ばす。
とはいえ朝散歩は20~30分でOK 。

※これ以上長く出ていても、日光浴の効果は頭打ちで、
むしろ疲れる確率が上がるからです。
社会復帰のために更に体力・気力を上げるための外出は
別途行なっていきます。


なお、朝散歩が必須とわかってはいても、
現在起床時間が遅い人が一挙に早朝に起きようと
思っても無理があるし、ポイントはそこではありません。
まずは現在の起床時間で
起きたら30分~1時間以内に玄関を出ることが最重要。

それが実行しやすいように
ジャージなどのスポーツウエアで就寝するのも一案です。

ジーンズがはきたいが、それでは眠りにくい、という人は
前夜のうちにジーンズを出して用意しておく、
(季節によっては、さらに)タオル、帽子、PET飲料などを
予め玄関にひとまとめにしておく、靴も選んでおく、
といった準備をしてから寝ると、
翌朝の面倒くささが減り、実行しやすくなるでしょう。

なお、どうしても外に出られない、
我が家は朝日が全く入らない、という人には
人工灯で太陽光の代わりをさせる、という手段もあります。

これは「高照度光療法」といって
何十年も前から存在する、うつ(特に季節性うつ病)
への治療法の1つです。

で、昔は研究用の、大きくて高い装置しかありませんでしたが
最近は個人向けのお手頃値段(数千円程度から)ながら
効果の期待できる装置も、通販で入手できるようになりました。

そのことについて詳しく書いた記事が
季節性うつ病に効く「高照度光療法」です。

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ABOUTこの記事をかいた人

ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。 ーーーーー ※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。