人間関係を良くしたければ、親との過去を癒そう

親との人間関係に問題を抱えていて、自身の人生に悩む人は、本当に多いですね。

心療内科に相談に来る方々はもちろんですが、
社会で普通に適応して暮らしているように見えても実は親子関係に日々悩んでいる、という人は、おそらく半数以上いるのではないでしょうか。

その代表的なパターンは、以下のものでしょう。

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⚫親が自分を認めてくれなかった。
・・・ほめられたことがない、いつも欠点を指摘される、愛された記憶がほとんどない。

 

⚫親が自分を理解してくれなかった。
・・・親が期待する言動ができなかったり、親とは違う価値観や感覚、能力で生きている子供に拒否的であった。

 

⚫夫婦関係が険悪なのを見て育ったので、異性関係や結婚について希望を感じられない。

 

⚫自分や他人に対して不信感が強いため、信頼感に基づいた、安定した人間関係を築けない。
そのため、親友や恋人ができない、結婚できない、あるいは結婚しても家庭内トラブルが絶えない。

 

⚫上司や同僚といった職場の人間関係で葛藤が多く、仕事が長続きしない。
転職しても、数ヶ月以内で辞めたくなる、あるいは辞めざるを得なくなる。

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なぜ親子関係がその後の人生に多大な影響を与えるかというと、
親子関係があなたの全ての人間関係の鋳型になる
からです。

つまり、物心ついてみたら、毎日身近で繰り広げられる家庭内の人間関係が、子供にとっては世界=人生の全てであり、そこが険悪で不信感に満ちていたら、人生そのものがつらく、世界は苦痛を耐え忍ぶ場だ、という意味づけをしてしまうでしょう。

とはいえ、既に生まれ落ちた家庭環境は変えられないし、子供時代は無力なので、そんな過酷な環境で育てば自分も自尊心が低く、他人を信頼できず、親しい人間関係を築けないのも無理はありません。

だから、そうした家庭環境で自分がネガティブで不安感の強い人間に育ったとしても、自分を責める必要はありません。

ただし既に大人になり、自分の対人関係や自尊心に問題があると自覚したならば、今後自分を改善していく責任は、自分で負わなければなりません。

かつて(1980年代~1990年代)、「AC」という概念がアメリカから始まり、日本にも急速に広がりました。

ACとはアダルト・チルドレンの略称で、正式には「アルコール依存症の親に育てられた子供が成人した人」を意味します。

アルコール依存症では、親の心がお酒に奪われ、家族をはじめとする人間関係も、仕事も、お金や健康管理も、お酒を飲むために全て後回しにされます。

アルコール依存症の親は酔った状態で突然家族に暴力をふるったりして、家庭が全くやすらぎの場になりません。

一方で素面の時間には本人は心から後悔し、配偶者や子供に「本当にすまなかった。もう二度としないから」と平身低頭して謝りますが、次に飲酒すればそんな約束はどこへやら、同じ暴言暴力の繰り返し・・・となります。

これでは親をはじめ、他者への信頼など生まれるはずもありません。

ACの概念は本来は、ACの本人たちが「なんで自分はこんなに人生に絶望しているんだろう?どうして毎日が苦しくて仕方ないんだろう?」という悩みに対し、
「幼少時の家庭環境がこんなに過酷だったのだから、そうなったのも無理もないんだよ。だから自分を責めないで、生きる希望を持とう」
というコンセプトで提言されたものです。

そしてそれを個人カウンセリングやグループカウンセリング、あるいは書籍で取り組み、正しく理解し乗り越えた人は、その後の人生を大いに改善し、結婚や仕事生活を楽しめるようになっていきました。

ところが一部のACの人たちはこの概念を誤解しました。
そして
「自分がこんなつらい人生になったのは、お前たち親のせいだ。弁償しろ!」
とばかり、実際に裁判を起こして親にお金を請求した例も、アメリカではありました。

しかし、これでは根本が解決しません。

それに、ACの親もほとんどの場合、AC。
つまり、加害者は被害者でもあり、親もまた、その親たちから虐待されたり、放置されて、低い自尊心を抱えて生きざるをえなかった人たちなのです。

そしてあなたが成人してしばらく経った頃には、親はもう老齢。

彼らに今さら「あの時のことを謝れ。後悔しろ」と詰め寄ったところで、めったに上手くいかないでしょう。

そもそも、あなたが気づいたときには、親が先に他界しているかもしれないのですし。

では、望ましくない家庭環境で育ったと気づいたら、あなたはどうしたら良いのでしょうか?

そのコツは、
「あなたのストレス度は、それがどんな出来事/環境/相手かよりも、その出来事/環境/相手をどのように受け止める(解釈する)かによって決まる」
という真理を知ることです。

これはうつ病や不安障害を治す心理療法として確立されている「認知療法」「認知行動療法」の基本コンセプトでもあります。

いわゆる、「ものは言い方、考え方次第」ということです。

詳しくは、文末にご紹介する書籍を参照していただければと思いますが、どんなネガティブに見える事象にもポジディブな一面があり、そこに意識をフォーカスするとその事象自体がありがたく、価値あるものに思えてくる、したがってその価値ある事象を経験した自分も素晴らしいのだ、と思えるようになる、ということです。

ごく単純な例を挙げてみます。

あなたが希望して入社した会社で、たまたま直属上司になった人が気分屋で、パワハラをしてきた。
あなたは耐えられなくなり、退社した、としましょう。

その事象だけを見ると「自分はあの人のせいで早々に転職せざるを得なくなった、ひどい!」
と思いがちですが、次に入った会社で思いもよらぬ分野の仕事に着手しそれが意外に自分に合っているとわかった――つまり天職へつながる道だったとしたらどうでしょう?

あるいは、新たな職場での同僚と、その後結婚することになったら、これも大きな恵みですよね。

親子関係も同じです。

ストレスを減らし、自身の人生を良くする考え方のコツは
「この(試練に見える)出来事は、自分に何を学ばせ、成長させるために起きているのだろう?」
という観点で考えるようにすると、この出来事をどう受け止めればストレスが最も減り、自尊心が最も高まるかが見えてくるでしょう。

最初は出来事のネガティブな面に圧倒されてなかなか良い面に目を向けにくいでしょうが、日々の練習で上達します。

以下の書籍にはその視点の見つけ方や、あなたの事例に沿ってのワークの仕方を教えてくれてますので、ぜひ取り組んでみてくださいね。

<参考図書>
『過去は自由に変えられる』佐藤康行著、産経新聞出版
『鏡の法則』野口嘉則著、総合法令

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ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。 ーーーーー ※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。