目次
あなたのパニック症状が治らないわけ
うつ病や不眠と並んで、社交不安障害、強迫性障害、そして
パニック障害は、現代に非常に多い不安障害の一つです。
ある時から急に始まった動悸や息苦しさなどで
通勤電車をはじめ、進行すると近所のお店などの
ちょっとした閉鎖空間にとどまることさえも怖くなり、
美容室にも行けない、歯医者にも行けない、買い物もできない
といった不自由な生活になっていきかねません。
しかし一方で、症状が出ても一時的で、上手くコントロールして
やり過ごし、社会適応をできている人もいます。
この違いは、どこから来ていると思いますか?
実は症状の激しさよりも、その症状への考え方、つまり
どう受け止めて解釈し、その解釈に基づいて改善行動を取れるかどうか。
これが、パニック症状に翻弄される人生になるか、
それともセルフコントロールを上手く行なって、生きやすい人生を
生きられるようになるかの、分かれ目なのです。
今回は、パニック障害になっても上手くコントロールできる人と
症状に振り回されて社会適応に困難をきたす人との違いについて
詳しくお伝えしていきます。
パニック症状の初発状況
パニック症状が急に出てきて対処に困り、
初めてメンタルクリニックを受診した、という人は
毎日の外来患者さんの中に一定割合、おられるものです。
ある時に――例えば通勤電車に乗っている時に急に激しい動悸や冷や汗、
呼吸困難感、めまい感、吐き気などに襲われます。
恐怖心におののきながらなんとか次の駅まで耐え、休憩します。
あるいはそのまま救急車を呼んで病院に搬送されることもあるでしょう。
しかし到着する頃には自覚的ににも、心電図をはじめとする検査でも
異常は見つからず、すぐに帰ることになります。
しかし初回が非常にショッキングだったので
「もうあんな目には遭いたくない」
と感じ、電車に乗ることが怖くなったり、そこから不安感が拡大して
お店やエレベーターに乗るのもためらったり、
いつもいくお店に入るのさえ、できるだけ避けようとしがちです。
しかしそれだと仕事や生活に支障が出るので、心療内科を受診してみる、
という流れです。
薬物療法はその場しのぎに過ぎないと知る
で、心療内科では、特に心理カウンセリングに
あまり力を入れていないような医療機関では、
症状を抑えるような精神安定剤や、場合によっては
SSRIといわれる、パニック障害を軽減するとされる
一種の抗うつ薬が処方されます。
特に精神安定剤はある程度即効性があるため、
苦しんでいる患者さんにとっては
希望の光となり、その結果「これさえのんでおけば大丈夫」
と感じがちなです。
しかしここが落とし穴で、
薬は一般的に、すでに発生してしまった症状を
一時的に麻痺させ、紛らわせて
やり過ごしやすくするためのものに過ぎません。
ちょうど虫歯で痛い人が痛み止めを飲めば
一時的に痛みを感じにくくなるのと同じことです。
つまり、鎮痛剤では虫歯を治していることにはなりませんよね。
同じように、安定剤などをのんで、その場の苦痛を一時的に紛らわせても
それは根本治療になっていないので、
まもなく同じ症状は戻ってきますし、他の病気と同じように
原因を見つけ出してそれを取り除くなり、取り組み方を変えるなり
しない限り、症状は続き、さらに進行していくでしょう。
根本原因である心理的ストレスには目をつぶり
表面的な身体症状を抑えようとすると、精神安定剤も
当初の量ではすぐに足りなくなり、通院の度に
「もっと量を出してほしい。もっと強い薬に替えてほしい」
と担当医に訴え続けることになってしまいます。
残念ながら、医師の中にも、患者さんに求められるまま
どんどん薬の種類と量を増やし続ける人がいます。
そしてもはやこれ以上増やせないところにまで
至ってから断られるので、患者さんは「じゃあ、別の所で」と
ドクターショッピングを続けることになりがちです。
しかし薬を限界量まで使ったとしてもやはり効果は一時的ですし、
その大量の薬が代謝されて少しでも血中濃度が下がってくると
かえって不安や動悸、吐き気やめまいといったものが
今度は薬の離脱症状として出るようになってしまいます。
もうこうなると、パニック障害による症状と薬の離脱症状が
ごっちゃになり、医療的にも治療が難しい状態になってしまいます。
甚だしい場合には、アルコールや薬物依存症の治療を行なっているような
精神科病院に数週間から数ヶ月入院して、
断薬期間を設けなければならなくなる可能性すらあります。
なので、むやみに薬に頼り、増やそうとするのは止めましょう。
自分の心の内面に目を向ける必要
「パニック障害の本当の原因と治療法」については、過去動画
「パニック障害を自分で治すには【成功率を決める考え方と行動法】」
で詳しくお伝えしていますのでそちらも見ていただきたいのですが、
一言でいうと、パニック障害とは
「心のストレスや葛藤が行き場を失い、
身体の症状に変換されて表現されたものである」
という認識を持つ必要があります。
表面的には動悸や吐き気や呼吸困難感なので、内科や救急外来に
駆け込みたくなりますが、実際には原因は、以下のような
精神的なストレスであり、しかも年単位で少しずつ
蓄積してきたものだと考えると良いでしょう。
よくあるパターンは
・家庭や職場など日頃接する人たちにいわれたことや頼まれごとを
断れず、無理を重ねている
・進路や仕事内容など、本心では意欲を感じられないものを
「お金のため」とか「家族のため」、あるいは
「世間体のため」に無理して続けている
といったことです。
もちろん、無理を続けた結果
・慢性的に睡眠不足が続いている
・長時間残業がいつものことになっている
・そのため、食生活も不規則で適当になっている
・プレッシャーを紛らわすためにお酒やタバコが増えている
こうした状況下では身体のエネルギーがさらに消耗していますから
なおのこと、パニック症状も起きやすく、
改善しにくくなっているでしょう。
認知行動療法的にアプローチする。
そして、続けることが大事
では、どうすれば本当の意味で治すことができるのでしょうか。
それは一言でまとめるならば
「認知行動療法が得意な心理カウンセラーに、できれば毎週、
少なくとも2週間に1度は継続的なカウンセリングを受けること」
となります。
軽症の人なら過去動画「パニック障害を自分で治すには」
にある書き出しワークを毎日行なうことで
自己治療も可能な場合もありますが、
いずれにしろ、これまで心の中にありながら、なんとなく扱いづらくて
モヤモヤ感じつつも見て見ぬ振りをしてきたものを、
正面切って見つめ、そこにまつわる自分の思考や感情、記憶を
細かく思い起こし、一つ一つきっちり対応していくことです。
「ちゃんと対応された」と感じた思いは、おとなしくなります。
その思いが、いわば「気が済んだ」状態になるからです。
これが「認知行動療法」の「認知」を変える部分です。
とはいっても、こうしたモヤモヤは過去数十年で
膨大な量になっている人が多いので、
対処していくにもそれなりの時間と労力をかける必要はあるでしょう。
そしてある程度自分の本音に向き合い、それを明らかにして書き出すことで
少し落ち着いてきたら、それと平行して
「認知行動療法」の「行動」を開始し、続けていくことも必要です。
具体的には、少しずつ、苦手な閉鎖空間
(例えば電車や、他人のいる屋内)に
慣れるように訓練していくことです。
このステップについても過去動画に詳しく手順を述べていますので、
参考にしてくださいね。
<関連動画>
パニック障害を自分で治すには【成功率を決める考え方と行動法】
https://youtu.be/Gl-F2M6FggM
<関連記事>
パニック障害の本質的治療とは
パニック障害を自分で治すコツ
パニック障害を自分で治す行動療法
ホリスティック(※)精神科医として、できるだけ薬を使わずメンタル改善する方法を様々に模索し、相談者にご提供してきました。このブログではその中でも特にアート(特に絵画療法)のエッセンスを通じてあなたが自己ヒーリングできるように工夫した情報を発信していきます。
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※ホリスティック:「統合的、総合的な」という意味。ここでは薬物療法オンリーの従来型精神医学の限界を突破するために深層心理学、催眠療法(ヒプノセラピー)その他のスピリチュアル、アロマセラピー、そして精神症状を改善するエビデンスのある分子整合(オーソモレキュラー)栄養療法を通じてメンタル不調を改善することを指します。
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